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「友だちは元カレ」

茶屋ひろし2008.10.23

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「最近、楽しいことをした後は必ず虚しさに襲われるんだ・・。これまでのように、楽しくて良かった、また頑張ろう、というふうにならなくて、自分の弱さに目が向いてしまって、自己嫌悪に陥る」というメールが私の携帯に入りました。
これは思春期の悩みか、それとも鬱の話かしら、と思いました。

差出人は、二丁目のゲイバーで仲良くなってもう三年くらい経つゲイ男性です。48歳という年齢のせいか、思春期という言葉がしっくりこなくて宙に浮いてしまいます。鬱の気配は確かにあるように思います。けれど、それだけでもないような気もして、返事を一度保留にすることにしました。

シンさん(仮名)のいう、最近楽しかったこととは、ケツメイシのコンサートに行ったり、下町の祭りで神輿を担いだりしたことです。そのときはいつも、シンさんが恋をしている男子と一緒のようです。ここ二年くらい、シンさんはいつも30代前半の男子を好きになります。

シンさんが恋をしている男子・・そう、「彼氏」ではないのです。気持ちも伝えてセックスも何回かしているけれど、付き合っているという確信が持てない男子です。なぜかというと、その男子は他の人ともセックスをするからです。

メールが来た翌日に私はそのことに思い当たり、シンさんは「彼氏」とイベントに参加しているわけじゃないから虚しくなるんだわ、と答えを出しました。その男子が自分の彼氏であってほしいのです。でもそうならないのです。残念ながら、自分とだけセックスをしてくれる人ではないからです。

「アレだよ、けっきょく遊び人ってやつだよ」
と、シンさんはため息をつきました。
「オレだって30代のころは似たようなことをしてたし、わからなくはないんだけどさ・・」
と、自称元遊び人は、少し自慢気にため息をつきました。
普段あまりセックスをしない(彼氏とさえ・・)私にはよくわからない感傷です。

シンさんや、今私が付き合っているクロの話を聞いていると、共通する価値観があることに気付きます。二丁目というか、ゲイコミュニティーの中で、二十代の頃から恋愛をしてきた人のなかには、セックスをしたことがあるかないかで、現在の人間関係が成り立っている場合があるようです。

見ていないひとにはわからなくて申し訳ありませんが、レズビアンドラマ「エルワード」で、アリスという主人公のひとりが自分の生きているコミュニティーの人間関係をマップにしてしまうエピソードがあります。それは、付き合ったことがあるかないかで人を結んでいく相関図で、繋げていくと必ず、今自分のそばにいる恋人なり友達は、過去に共通の知人とのお付き合い、ないし、セックスを介在してきた、という事実に行き着く、というものでした。

クロと出会ったとき、まだよく知らないくせに、私は「この人、友達いなさそう・・」と思っていました。そして少しずつクロの友達の話を聞くようになって、ふと気がつくと、その友達はみんなクロより年下で、どちらかといえば私の年齢に近いゲイ男子ばかりです。

そういえば、最初に連れて行ってくれた二丁目での行きつけの店のママは、クロの元元・・カレでした。
なので、それからの私は、友達の話題が出るたびに、さりげなく「その友達って、昔付き合っていた人?」とクロに聞いてみることにしました。すると答えはイエスか、もしくは「いや寝たことはあるけど付き合ってない」という二つしかありません。
そう、クロが誰かと仲良くなるときは、まずセックスをするのです。その人が友達になるか恋人になるかは、そのあと決まるようです。しかも、オレが決める、というより、流れにまかせるというアバウトな感じです。そして、かつて恋人だった人はかなりの確率で現在友達になっています。ということで、クロの周りはゲイ男子ばかりです。
シンさんにその話をしてみると激しく共感しました。

「やっぱり一度でもセックスをした相手だと、どこか深いところでつながっているような安心感があるんだなー」だそうです。
そのあとシンさんは驚いた顔をして、「そういえば茶屋ちゃんとはセックスしてないのに仲いいよなー!」と言いました。
いや、私は友達とセックスしないし、そもそもセックス自体あまりしないし、セックスした人とはそのあと会わないし、一度セックスしただけで深い・・なにが? と私は私で驚きました。

自分の人間関係がセックスをしたことがある人を基盤に成り立っているという世界は、一見、狭い世界のような気がしますが、その屈託のなさには悪い気がしません。

それにしても、彼氏か友達かセックスするか、となにか巨大なスパイラルに巻き込まれているような世界です。
ところで、時々私は、酔っ払うといっしょに飲んでいる人とキスをしてしまう癖があります。まあ気持ち悪い話ですが合意の上です。そのことをうっかりクロに話してからというもの、クロはことあるごとに、「愛しいと思ったらキスしてもいいんだろ」と、その時私が言った台詞を繰り返します。そして、「オレだってするから」とまた脅します。
クロにとっては、そういうキスこそ浮気、だそうです。「セックスは性欲の処理だから、セックスするだけのことを浮気とは呼ばない」といいます。

酔ってキスをする「屈託のなさ」(と自分で言う・・)と、セックスは処理と言い切る「無邪気さ」とが相容れません。そのくせ、「キスもセックスも自分だけとしてほしい」という独占欲も垣間見え、私たちもけっきょくスパイラルへ。つい、お互いに割り切ったように話してみたり、自分の定義を出してみたりしますが、すっきりする方向へは行かないようです。
やはり、同性愛の世界は異性愛に比べてまだ思春期の段階だ、ということなのかもしれません。って、私の周囲だけかもしれません。

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茶屋ひろし

茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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