ラブピースクラブはフェミニズムの視点でセックスグッズを売り始めた日本で最初のトーイショップです。Since 1996

税関物語~私がソレを手に入れるまで~

北原みのり2009.07.01

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 ラブピースクラブをはじめて12年。海外の産業市なんかに行くと「ラブピースクラブよく知ってるよ!!」と言われることが時々ある。そういうことをイギリス人とかに英語で言われると、あら、ラブピったら国際的な企業? というようないい気分である。なものだから、先日、日本のアダルトビデオメーカーの人が電話をかけてきて、「私たちは、○○というビデオメーカーで(知ってるよ、そんなこと)、私は営業の○○と申します。御社は、どういうお店ですか?」と意味不明な営業電話がかかってきた時に、「電話する前に相手の会社がどんな会社か、調べてから電話したら?」と冷たく言い放ち電話を切ってしまった。12年目のバイブ屋。同じ業界人に対し上から目線で、おごりが出てくる年頃である。口のきき方に気をつけねば、と思う今日この頃だ。
 
 
 先日、ラブピースクラブの海外からの荷物が税関で止められている、と通関業者から連絡があった。理由は、商品のパッケージにリアルチンコが写っているから。電話口で重々しい口調で私に「問題の商品があります」と告げてきた通関業者の男は、丁寧にパッケージの写真をコピーしてファックスしてきた。真っ黒で、どこがチンコかわからない。しかしその男の説明によると、隠しようのないリアルチンコ、なのだと言う。
 
 
「そちらで箱だけ、破棄してもらえますか?」
今までもこういうことはあった。その度に通関業者に外側だけ捨ててもらったり、輸入できない本だけ抜き取ってもらったりしていたのだが、こういうことは業者によって対応が違うらしい。その通関業者は迷惑そうにこう言うのである。
「忙しいのでそういうことは行っていません」
忙しいからできない・・・。そういう断り方があったのか!!! 忙しくてもやるのが仕事だと思っていた私の仕事観がくずれるような斬新さだったので、私は思わずこう言ってしまった。
「じゃぁ、私が手伝います。というか、私がそこに行って、やりますよ!」
というわけで私はリアルチンコが写った箱をなんとかするために、先日、某通関業者の倉庫に向かったのであった。
 
 
海外から日本に送られてくる小包は、基本的に全て、開封される。税率を定めるため、法に背く商品が入っていないかを確かめるため。一つ一つの箱が個人のもとに届く前に、税関職員、または通関業者の手によって中身が確認されているのである。
初めてその事を知った時は、すぐには信じられない思いだった。
プライバシーの侵害である、という違和感もあったけれどそれ以上に、仕事の内容にリアリティがなさ過ぎるように感じたのだ。海外から送られてくる小包、全てを、開ける、だよ。戦地からの手紙? 全部あけるとか言って、本当は10分の1くらいを、ちょこちょこっと選んであけているんでしょ? と笑っていた。
が。私の感触では、会社どうしの取引だとほぼ100%、個人輸入でも相当高い確率で、開けられている。麻薬とか、鉄砲じゃなくても、危険なもの(主にエロ)はいっぱいある。エロを水際で防ぎ、そして海外商品にはきっちり高い関税をかけ、ニッポンを守らなければならない。ということなのだろうか。
 
 
 その日、私は朝一番で、通関業者の倉庫に向かった。手にはカッターと油性マジックペン。通関業者は「忙しいなら、私がやるから!!」という私に対して、「破棄ではなく、修正ならしてもらえる」と言った。その違いの意味はあまり考えず、消します、消します、そんなチンコは消します消します! と私は張り切って出かけていったのである。会社には山積みの仕事がある。やっていないこと、いっぱいある。待たせている人もいる。正直、私は忙しい。だけど、商品を手に入れるために、リアルチンコを消さねばならないのだ。
 
 
・・・続く・・・です。
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北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めて、女性だけで経営するセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」を始める。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)など。佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・最新刊は香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

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