ラブピースクラブはフェミニズムの視点でセックスグッズを売り始めた日本で最初のトーイショップです。

アンアンのセックスできれいになれた?

北原みのり2011.08.31

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「アンアンのセックスできれいになれた?」を8月19日、朝日新聞出版から出しました。アンアンは1970年に創刊されました。三島由紀夫が割腹自殺した年。ウーマンリブが誕生した年。ついでに言えば、私が生まれた年。アンアンは誕生しました。
できたばかりのアンアンは、それはそれは美しい雑誌でした。日本で誰ももっていないヴィトンを軽々と持ち、パリに行こうよ! ロンドンで遊ぼうよ! とそれまで誰も提案したことないことを、声をあげて言い出したのがアンアンでした。女の子はもっと世界に飛びだそう! と。
70年代のアンアン。今の雑誌では考えられなくらい、アナーキーで政治的な香りもします。未婚の母になろうとしていた加賀まりこを「やっちゃいなさいヨ!」と応援し、「女どうしだってセックスできるよ!」と突然宣言しちゃったり、NHK職員が「マリファナ吸いたい」と投稿してきちゃったり・・・
驚くべきことに、読者ヌードも70年代初頭からありました。商社に勤める女性が「会社に来る人はみんなハゲオヤジ」みたいなことを言ってヌードになっている写真を見た時は、いったいこの時代と今が、地続きの日本なのか・・・? と言葉を失ったものです。
そして80年代。80年代は、ばかみたいに「女の時代だ!!!」と言われ続けました。男女雇用機会均等法施行は1986年。その時代にアンアンは「もうコピー取りなんかしたくない!」と声をあげては就職情報を紙面に掲載し、「もう徹底的に遊び回ってやる」と宣言してはハウツー夜遊びを徹底的に教えてくれるようになりました。本格的な女の”社会進出”。女たちの背中をエイッ! と押すような記事が続出します。
「抱かれたい男」の原型「セックスしたい男」が登場するのも80年代前半。「抱かれたい」じゃなくて、「セックスしたい」だからね! あの頃の女の勢いが伝わります。ちなみに、第一回セックスしたい男はベスト1は・・・山崎努でした。
山崎努。セックスしたい男第一位! この時既に山崎努は40歳を超えてました。なぜオヤジが! と不思議な思いにもなりますが、選ばれた理由は「セックスが上手そうだから」。キムタクに、これ言えないよね。大人の男には金と技がある・・・と思われていた80年代です。
そうそう、日本で初めての裏ビデオ「洗濯屋ケンちゃん」に登場していた男優に、まじめなロングインタビューをしていたのもアンアン80年代的、です。エロなんです。オバカなんです。軽いんです。80年代って。
そして89年の「セックスで、きれいになる。」誤解している人は多いけれど、アンアンがセックスを扱ったから話題になったのではなく(だってそれまでだってさんざんセックスのことは特集していたのだから)、「きれいになる」としたことが新しかったんです。セックスを、オシャレに語る、ことがものすごく新しかった。
私はアンアンが大好きでした。本当に読み込んでた。毎週買ってました。高校生の頃から29歳あたりまで。 89年のアンアン「セックスで、きれいになる」がなかったら、私は、今、バイブ屋をやっていなかったとも思う。そう言い切れるくらい、アンアンが好きでした。
今の若い女子は、アンアンが輝いていた頃をそもそも知らないと思う。だけど、間違いなくアンアンって、日本の女のカルチャーを先導してた雑誌でした。女はもっと自由に、女はもっと個性的に、女はもっともっともっと外に行こう! 色んなものを観よう! カッコヨク生きようっ! て教えてくれた。
そのアンアンが変わってきたのはいつ頃??? とセックス特集を中心に読み込んでいくと・・・だいたい97年頃からね・・・あることをアンアンが言い始めるんです。「愛あるセックスだけが、あなたをきれいにします」と。なんだよ、それ。愛があるかどうかわかんないけどとりあえず肌を重ねるセックスが一番気持ちいいんじゃねーの!? と浮かれてたそれまでの20代を全否定されたような気分になったものです。
そんなアンアンが21世紀をどう生きていくか。もう「時代の顔」ではなくなってしまったアンアンが、どのように変わっていくのか・・・を、考えながら21世紀のアンアンを読みました。私自身もバイブ屋をはじめ、色々なことがあった10年です。
2007年夏に飯島愛さんがLPCにショールームにいらっしゃったことがありました。たくさんのバイブを買ってくれた。愛さんは、バイブ屋を始めようとしていて、うちからも多くのバイブを仕入れてくれました。「女性のためのアダルトグッズを」と愛さんはおっしゃっていて、私はドキドキしました。大変なライバル店ができる・・・と。でも、どこか何か違う気がしてた。何が違うのかはしばらくわからなかったけれど、亡くなってしばらくして、愛さんが注文してくれて、結局、それは愛さんが売ることはなく、ラブピースクラブに大量の在庫として残ったものを見ながら、気がつきました。。
それは、バイブでもローションでもなく、絵はがきでした。 I LOVE YOU と書かれた絵はがきでした。
愛さんは楽しいセックスを提案していたのではなくて、女の子たちをセックスから解放してあげたいと思っていたのではないかしら・・・。そんな風に思いました。大量に残されたそのポストカードを、私は今年の夏、ようやく、売り切りました。4年かかりました。
そんなこと。70年代のアンアンから2011年までのアンアンまでを読みながら、女のセックスの歴史を書きました。全国の書店でも、アマゾンでも、そしてラブピースクラブでもお買い求めいただけます。本当は全国の書店にサインに行きたいくらいです。買って下さった方に、アンアン凄いんですよ! と伝えたい!
「アンアンのセックスできれいになれた?」 よろしくお願いします!
北原みのり2011年夏

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北原みのり

ラブピースクラブ代表
1996年、日本で初めて、女性だけで経営するセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」を始める。
著書に「はちみつバイブレーション」(河出書房新社1998年)・「男はときどきいればいい」(祥伝社1999年)・「フェミの嫌われ方」(新水社)・「メロスのようには走らない」(KKベストセラーズ)・「アンアンのセックスできれいになれた?」(朝日新聞出版)・「毒婦」(朝日新聞出版)など。佐藤優氏との対談「性と国家」(河出書房新社)・最新刊は香山リカ氏との対談「フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか」(イーストプレス社)など。

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