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アンティルのお正月

アンティル2012.01.05

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人は変われるのだろうか?
2012年1月、そんなことを考えながら過ごしている。このコラムを通し自分の生き方を
辿って、今の自分と比べてみるとなぜだか昔の自分が懐かしい。社会の中に入れなくて、外側でSEXに明け暮れていた頃と、社会の中に入り込み生きる私。その2人の私は明らかに違う。自分の言葉を口から発することができなくなっているような気がするのだ。
社会=男の生きる世界と考えると、この世界は男とのつきあいが重要だ。男として生きなきゃ!と必死になっていた20代から30代中盤はその世界に振り落されまいと全身に力を込めて過ごす毎日だった。そして今、私はその“無理”をやめた。もちろんトラブルは増える。ふとした時に男の世界にも女の世界にも入れない、入れてもらえない自分がいたりする。
年末の忘年会で仕事仲間の後輩に
「アンティルさんはゲイですか?」
と聞かれた。
「女性が好きだよ」
と答えると。腑に落ちないというような顔をされた。
何人かのグループでスキーに行った時、スキーを履けずによろけている女性に手を差し出してみたら、腕をつかまれた。手をつなぐことを拒否された気がしてとても悲しくなった。みんなにとって私は男だ。
最近とみに思う。女性と話すことが本当に楽しい。男の話のなんとつまらないことか。
「巨人のさぁ、あの試合よかったよなー」
「日本サッカーの未来は・・・・」
「どう調子は?・・・へーそいでさ・・・」
普通の話からその人の生き方にまで及ぶ女性との会話とはまるで違うまったく違う生き物のコミュニケーションなのだ。相手も付き合いが長くなればなるほど私を“自分とどこか違う生き物”として認識する。そこで私がうまく生きられるはずもない。しかし、この社会で生きる以上、この“男”とも必要最低限のコミュニケーションをとらなければならない。それにはどうすればいのか。その答えを“自分らしい”取り戻しながら手に入れたい。それはこの社会で魔法を手に入れるようなものだ。だれかその秘策を教えてほしい。
最近私はカミングアウトのことを考える。仲良くなった人たちに自分のセクシャリティについて告白すべきか。それが外国人の場合はどうなのか。いつまでも隠している後ろめたさから・・・という感じ?なんだかわからないが話したいと言う気持ちが入り交じる変な意思でもそのどれもとも違う気もする。 “FTM”という称号をもらい、社会に“馴染める”存在になった頃に“FTM”とカミングアウトすることが少し楽しかったあの頃ともちょっと違う。なにせ今の自分はきっと“FTM”とは言わない。では何というべきか。しかも、それを探すことに今の私は意義を見いだせない。それは常に自分は変わり、そして自分が自分であることに逆らうことはできないと思うからだ。ならばこのカミングアウト的欲求をどうすればいいのか・・・。
2012年の幕開け。私は異国の地でスケートをした。旅で出会ったマレーシア人と日本人と韓国人とのグループ。何年ぶりかのスケートだ。この後は「ショッピングだ!」とみんなを誘いながら出かけたこのスケートで私は頭を強打した。倒れた瞬間私は久しぶりに“あっ!やばい”と思った。立ち上がろうとしても立ち上がれない。頭がガンガンする。10分後には頭の中に頭ができたのではかと思うほど腫れ上がり、首をまっすぐにしていることができなくなった。さきほどのツアコン並みのパワーはどこへ行ったのか。私は一言も発せられなくなり、みんなを置いて車で一人黙ってホテルに帰った。思えば一昨年、私はアメリカで救急車に運ばれ大金を要求された。昨年はタイでなぞの伝染病にかかり1週間入院した。そして今年、私は氷を頭にのせてこのコラムを書いている。あーこんな自分を今年は変えたい。
長い間連載させていただいた「本当にあった笑える話」の連載があと1回で終了することになりました。漫画家の坂井恵理さんにより視覚化されたアンティルはどうだったでしょうか?この連載より数年先を行ったマンガ版アンティルに今年は追いつけ追い越せでこのコラムを改めて始めたいと思っています。よろしくお願いします。

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アンティル

アンティル(あんてぃる)

ラブローター命のFTM。
数年前「性同一性障害」のことを新聞で読み、「私って、コレかも」と思い、新聞を手に埼玉医大に行くが、「ジェンダー」も「FTM」という言葉も知らず、医者に「もっと勉強してきなさい」と追い返される。「自分のことなのに・・・どうして勉強しなくちゃいけないの?」とモヤモヤした気持ちを抱えながら、FTMのことを勉強。 二丁目は大好きだったが、「女らしくない」自分の居場所はレズビアン仲間たちの中にもないように感じていた。「性同一性障害」と自認し、子宮摘出手術&ホルモン治療を受ける。
エッセーは「これって本当にあったこと?」 とよく聞かれますが、全て・・・実話です!。2005年~ぶんか社の「本当にあった笑える話 ピンキー」で、マンガ家坂井恵理さんがマンガ化! 

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