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「あつくてさわやか」

茶屋ひろし2015.10.01

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すっかり秋ですね。陽射しがきつくても、日影に入れば風はさわやかです。
私はnokkoの秋をうたった歌が好きです。『CRYING ON MONDAY』に『キリン』。
天高く・・と思うと、あのハイトーンボイスが突き抜けて、気分が良くなります。

書店では、本以外の商品として、文房具を始めました。これまでほとんど関心のなかった私は、卸業者の営業さんに今売れているものを薦められました。
スタッフの人がみんな知っていたフリクションのボールペンすら知りませんでした。ほらこれですよ、とエプロンから取り出して見せてくれます。

とりあえず層の厚いサラリーマン男性を対象にした棚をつくってもらったら、少し物足りないというか、色味がないというか、地味な棚になってしまったので、すぐに設定をくつがえしてしまいました。
雑誌を見たり近所でやってた展示会に行ったりして、おもしろ文具や、進化した機能をそなえたものに触れて、相談しながらあれこれと仕入れます。教育書も置いているので、小学校の先生用に、よくできましたスタンプやシールを注文しました。

本は返品ができるからか、利益は20%台と低く、文具はそれよりも率は高いもののすべて買い取りです。あまり考えずに何でも仕入れたら3年たっても売れ残っているかもしれません。
新宿二丁目で働いていたビデオ屋では、DVD以外にも、お菓子や雑貨を社長が良く仕入れていました。売れ残りを置いている倉庫がたくさんあって、毎年、季節の商品をそこから取り出して袋を詰め替えて出していました。
年々くすんでいったクリスマスの雑貨やポストカードを思い出します。
ああならないようにしなくてはいけません。
そういえばエロDVDもネットに押されていたとはいえ、あの社長は、定価の1割で仕入れて6~7割で売っていたわ・・といまさらながらその利益率の高さに驚きます。

人件費を削るように、ウチの社長には毎月うながされますが、それよりもまず儲けを出したいと、少し抵抗しています。
早番と遅番のスタッフの関係がギスギスしていてそれの調整にも追われます。
あっというまに日々が過ぎ去っていくなか、安保法案が可決されました。

先日出た、SEALDsと高橋源一郎の対談集『民主主義ってなんだ?』(河出書房新社)の動きは好調です。すでに5万部いったとか。
10月に大月書店から、SEALDs第二弾の本も出る予定です。
とにかく、あの公聴人に呼ばれた奥田愛基さんをはじめ、シールズの人たちのメッセージは冴えていて驚きます。

「民主主義、終わってんなら、始めるぞ」というコールに元気をもらいます。
それは、警察のいうことを聞くデモなんてデモじゃない、というルサンチマンを抱えたような、これまでの社会運動を払しょくしていく気持ちよさです。
今回の一連の動きが変えたのは、与党議員ではなくて人々の意識だったと思います。怒り以外の感情はいらない。ねたみ、そねみは文学に任せておけばいい。

時々、こういうふうに指標を置いてくれる人たちが現れます。私が考えている場所より先に、「もう、そこやないで、ここやで」と、白い三角の旗を崖の途中に指していってくれるようなイメージです。

本当は辺野古へ行ってトラックの前に寝そべりたいのですが、なかなか行けないので、せめてもの思いで、十三のミニシアターに足を運びました。
『圧殺の海』と『戦場ぬ止み』(いくさばぬとぅどぅみ、戦争をここで止める、という意味)を見ました。
どちらも去年の7月からの埋め立て工事の現場を追ったドキュメントです。

キャンプ・シュワブに入れないように、ミキサー車の前に立ちはだかったり、みんなで寝て通さないようにしたり、埋め立てられる予定の海に次々とカヌーで乗り出したり、そのたびに沖縄県警や海上保安庁の部隊に妨害を受けます。本土との温度差をこれでもか、と感じます。

その中で、山城博治さんというリーダー的な存在の方がクローズアップされます。息の詰まるような場面の連続の中で、山城さんの、怒りだけではないアプローチの仕方に、笑いも生まれていました。
目の前に立ちはだかる、同じウチナンチューの県警の若者たちに向かって、「警察やめたら、すぐこっちで雇ってやる」と冗談も飛ばします。
長く運動を続けてきた人の知恵と温もりがそこにありました。

映画ができた頃には悪性リンパ腫を患い入院していたという山城さんが、9月にゲート前に復活したという映像を先ほどネットで見ました。
その中で、テントが張られていつも人がいるその場所を、「あつくてさわやかだ」と言っていました。
ヘイトスピーチのカウンターの人たちや、SEALDsの学生さんたちの思いにも通じる表現だと思います。

私も書店で、そんな棚をつくれたらと思います。

*『戦場ぬ止み』は監督の三上智恵さんによって、書籍化されています。これも大月書店で、今年の6月に発売されました。よかったら、ぜひ。

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茶屋ひろし(ちゃや・ひろし)

書店員
75年、大阪生まれ。 京都の私大生をしていたころに、あたし小説書くんだわ、と思い立ち書き続けるがその生活は鳴かず飛ばず。 環境を変えなきゃ、と水商売の世界に飛び込んだら思いのほか楽しくて酒びたりの生活を送ってしまう。このままじゃスナックのママになってしまう、と上京を決意。 とりあえず何か書きたい、と思っているところで、こちらに書かせていただく機会をいただきました。 新宿二丁目で働いていて思うことを、「性」に関わりながら徒然に書いていた本コラムは、2012年から大阪の書店にうつりますますパワーアップして継続中!

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