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「わたしたちは両想い」

おのゆり2016.06.13

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 頭は丸刈りがふさふさ伸びた感じ、変な赤の制服、そんなユノを見ててまた心底悲しくなってきた。見なきゃいいのかも。だけどどうしても情報を追ってしまう習性なのか、どうしても今ユノが何してるのか気になるからか、現実を見ておくんだって思いもあって、ユノが軍隊でステージしてるのをネットであさってひとしきり眺めていた・・。もったいない。ほんとはもっともっとうつくしいのに。なんで今はあんなとこでこんな姿なんだよ。
 そしてユノと一緒にいる周りの若い軍人の男の子たちを見て、ほんとにあの国にいる男の子みんなが2年近い時間を強制的に軍隊で過ごしているのかと思うと、とても過酷な現実と生きてるんだな、そういうのがあたりまえにある社会にいるってどんな感じなんだろうか。男性は、女性は、どんなことを思いながら過ごしてるんだろうか、とかまたいろいろなことを思ってしまう。

 わたししつこいからいつもおんなじようなことばっか言っててごめんなさい。でも、なんか、よくわからなくなってきた。最近ははっきりいって彼らの残していった作品を、「昔」のユノとチャンミンを見ていても、なんだか気が晴れない。もちろん彼らの歌もダンスもステージも、過去の作品は何を見ても聞いても楽しめるし感動もする。だけどやっぱり新しいものを、もっともっと見たい、今の彼らとともにありたい。そう思ってしまうのかな。そして彼らが今、兵役に就いているってことを忘れることなんてできないし。

 たかだかアイドルに、東方神起に、何もそこまで思い入れなくてもいいのに。単に、若いかわいい男の子たちに癒されたいってだけなら、他にもいるんだし。だけど、やっぱり、どうしても東方神起は、ユノは、わたしにとって特別。彼らが今何してるかってこともわたしには、わたしたちファンには重要。何なんだろういったい。アイドルってそもそも何なんだろう。わたしたちの熱狂って、はまり方っていったいどういうことなんだろう。

 これも恋の、恋愛の、一種なんだ、とまじめに思ってみる。実際に触れ合うことのできる人間関係とはちがうけど、すごく好きで、もっと知りたいと思い、自分を精神的に支えてくれるような、自分の心のうちを受けとめてもらえるような存在で、しかもちゃんと彼らからも思いを、愛を、受けとる。そういう恋愛関係。そんな改めて言わなくても、アイドルにはまるってそもそも「疑似恋愛」って捉えられるものなのかもしれない。
 疑似恋愛の定義ははっきりとはわからないけど、たとえば、彼らを実際に付き合う恋愛の相手なんて風に考えたことはわたしはほぼない。だって、あんなきれいな男の子がわたしと並ぶなんて無理だし釣り合わない、とてもそんなことありえない。そういう風に、彼らを実際の恋愛の代わりに考えるってことではない。疑似でも代替でもなく、わたしたちがあたりまえと思ってる恋愛じゃないけど、おたがいを大事に想いあっている東方神起とファンとの関係も一つの恋愛だと思う。

 東方神起に癒されるってよくくちばしっているけど、それはたしかにそうで、つまりそれは、わたしが、わたしたちが、それだけ癒される必要があるってことだ。日々傷ついているわたしたちをいやす彼氏たち。それは現実に彼氏や夫がいたとしても。いや、むしろいるときの方がわたしは常に傷ついてたかも。

 この恋愛関係はバーチャルな世界に閉じこもるのとはちがう。むしろ逆。生身の人との関係とほぼバーチャルな人との関係はくらべるものじゃないし、もちろん日々傷つきながらも、実際の人と人との関係の中でいろいろなものを得ているのは、それは当然のこと。東方神起は、日々直面する生々しい人間関係を生き抜くために、いつでもそこにあって、支えてくれる、ある意味とてもコンビニエントに、愛を与えてくれる存在。毎日を前向きに生きるための、心の拠りどころ。

 自分の思いを投影してそれを受けとめてもらう。それもファンはあまたいて、それぞれがいろんな思いを抱えていろんな思いをきっと東方神起にぶつけているはずで。それを東方神起はぜんぶ受けとめている。そう考えると、なんともよくできているって思う。そう、もちろんアイドルはフィクションだってこともわかっている。だけど、演出だけでは超えられない人の魅力があってそれで成り立っているのも事実。この時代を共に生きる人と人としてつながっているのも事実。

 わたしはユノの身体がどんどんむきむきに膨張してってるのを見て、少し不安になる。わたしたちのユノは、軍隊という特殊で過酷な経験を通して、少し変わってしまいはしないかと。やっぱり彼氏と離れてる時間はつらい。でも、ユノとチャンミンは「待っててください」って言ってたし。最後のコンサートでわたしたちの前でしゃくりあげるように泣いたユノと、大きな目をまっかっかにしてたチャンミンを思い出して、やっぱり信じて待っちゃう。きっと、わたしたちのもとへ、きれいなユノとチャンミンで、きちんと戻ってきてくれるよね?

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おのゆり(おの・ゆり)

大学院生。
1974年生まれ。東京出身。女性学修士。2012年に渡独し、現在、大学のジェンダースタディーズ博士課程で、フェミニズムや女性運動について研究中。もうそんなに若くもないのに、ひとりドイツで、貧乏学生生活送ってます。トンペン歴8年。 

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