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 元東方神起のユチョンが、複数の女性に性的暴行で訴えられるというショッキングなニュースが伝えられている。まだ捜査中であり真偽のほどはわからないけれど、今の時点ですでに、彼のファンはすごく悲しんでいることだろうと思う。このニュースを知ったとき、わたしは実はなぜかそんなに驚かなかった。昔からユチョンは女性にもてるので有名で、そういううわさは絶えないと聞いていたし。そして、だから、そういう、女性にモテまくるような色気なんかが彼の魅力なんだろうなって思ってた。
 実際、ユチョンのファンも彼のそういう面を知っても彼が好きだと言っていたし。芸能人といっても、アイドルといっても、タイプもちがえば、ファンだっていろいろ好みがあるもの。アイドルとして魅力的なら、そんな彼にファンが惹きつけられるのならプライベートはどうあれ、それでいいものなのかも知れない。
 とはいえ、今回は話がちがう。性的暴行で訴えられて、争点は、強制性があったかどうかだなんて記事を読んで、ある程度ユチョンのプライベートを知っていたファンだってさすがにこんな事態耐えられない思いで見守っているだろう。ましてや、彼の最近のドラマや音楽だけを楽しんでいたファンにはこの事実は相当ショッキングに違いない。

 そもそも密室で行われるそのような行為において強制性があったかどうかを立証するのはすごくむずかしいことで、警察の捜査で彼が性行為を強要したのかどうかにどう判断が下されるかよりも、複数の女性にそのようなことで訴えられたこと自体にすでに大きな意味があるように思う。彼が日頃、女性とどういう付き合いや関係を持っているのかがある程度具体的に露呈してしまったことが、彼の芸能人としてのイメージをかげらせてしまう。こうなるともう、今までのように彼の笑顔に癒されたり、彼の情緒あふれる歌や心温まる演技に入り込んで感動することはむずかしいのではないかなとわたしなら思う。事情はどうあれ、少なくともそういう意味で、彼は大事なファンをうらぎってしまったのではないかな。

 彼はもう東方神起ではないし、この件はわたしには他人事だけど、やっぱり昔の東方神起のときの彼のことを思ったり、ユノやチャンミンはどう思ってるんだろうって思ったり、あとは、アイドルにうらぎられたファンの思いや、そしてユノやチャンミンになんかあって自分がそんな事態に直面したらどうなるだろうかなんてことを考えずにはいられない。ユノにはチャンミンには、きっと、ぜったい、こんなこと起こらないって思う。だけど、それをいったら、ユチョンのファンだってきっとそう思ってたに違いないしそう思いたいはず。勝手にアイドルにどっぷりつかっているファンとして、アイドルは、絶妙なイメージってもので象られていて、とてももろいものなのかもってことに漠然と不安をいだく。

 イメージといえば、かたやユノは、軍隊での行いが評価されて、最近は「国民の息子」と称されるほどだ。少し前に、彼が軍で「特級戦士」になったという報道があった。腕立て伏せを何分で何回といった身体能力や、射撃の能力など、軍人としての基本的資質の優秀さを問う基準を彼はクリアしたということらしい。芸能人なのに、軍楽隊所属なのに、ほとんどが20歳そこそこのわかい兵役軍人たちの中に30歳で入隊したのに、それなのに、チョンユンホは、100人に1人という難関を突破した。彼のこんな成果を絶賛する記事があふれ、ファンからも彼のがんばりをたたえ、彼を誇りに思うという反応が多かった。
 あらためてほんとに彼が射撃訓練なんてしてるんだ、しかも的中率がいいんだ、なんてことにショックを受けて泣けるし、とにかくこれは、彼が、国にとって、軍隊にとって、「特級」に使い勝手のいい上質な個体として認められたっていう、なんとも物悲しい話だ。それに、ユノは、もともとそういう人なだけで、べつに、特別、軍隊だからがんばってるわけじゃないんだけど。だけど、ユノの軍隊でのがんばりは、極上のエピソードとしてメディアに登場した。兵役に行ってもがんばるスター。それは韓国の若い男性にとっての良き模範であり、軍隊のイメージの向上につながる。国にとっては、国家を守る役割を忠実に果たす立派な成人男性として重宝され、国民みんなの理想の、頼もしい「大韓民国の息子」だ。

 こんな風に軍隊でのことで最大級にほめられて、韓国では最上級であろうイメージを植え付けられても、わたしは全然うれしくないけど。こんなすばらしい軍人だから、ユノにはスキャンダルなんてありえない、潔白な人だっていうつもりもないけど。だけど、ときには心配になるぐらいに、彼はいつでもどこでもまっすぐで、与えられた役割を十二分に果たそうと努力する人で、わたしたちは、ユノのファンは、そんな彼の姿をいつも見て、いやされたり勇気をもらったりしている。

 兵役という強制された役務においても、そこで自分の納得のいく時間を過ごそうとするユノ。彼は、いつどこにいても、どんなに忙しくても、きちんと自分を見つめているんだと思う。自分の弱さにもちゃんと向き合って、そして強くありたいと思っていつもいつもまっすぐにがんばる人。自分の弱さを知っているからこそ、人の痛みを自分のものとして感じられる、少なくとも人の痛みをわかろうとする、そういうやさしさを持つ人。目標を決めてがんばって、それが達成できたら、そのときは「ユノよくやったね」って自分に言って自分を褒めたいとか言っちゃう、ほんとに死ぬほど純粋でかわいい人なんだ。

 そんな人に、そして東方神起に、今回のようなスキャンダラスなことが起こるとはやっぱり思えない。きっと彼らにかぎってない。とは言っても、ぜったい、なんてものもない。彼らにも信じられないようなことがほんとうにもしかしたら起こるかも知れないとしても、わたしたちが見てるものがある程度はアイドル東方神起という作られたイメージなんだとしても、それでも、というか、だからこそ、わたしはこれからもユノのことを信じたい。人生は、わたしたちの世界は何が起こるかわからないからこそ、これからも信じさせてほしいって思う。そして、今もこれから先もできればずっと、わたしたちは、東方神起におもいきり熱狂していたい。

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おのゆり(おの・ゆり)

大学院生。
1974年生まれ。東京出身。女性学修士。2012年に渡独し、現在、大学のジェンダースタディーズ博士課程で、フェミニズムや女性運動について研究中。もうそんなに若くもないのに、ひとりドイツで、貧乏学生生活送ってます。トンペン歴8年。 

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