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やめられない、トンペン・ライフ

おのゆり2016.10.11

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 わたしがほんとにばかみたいに東方神起がだいすきで、すごくはまっていて、わたしの生活には彼らが欠かせない存在であることは、毎回そんなことだけを書いてきてるから、もう自明のことだけど。もちろんだいすきなのは東方神起だけど、東方神起のファンであること、トンペンであることもすごくたのしい。大人になっても、こんな風に、ほんとうに掛け値なしに、単純に、純粋に、たのしい!って思えることって、あるんだなって思った。コンサートが迫ってくると、指折り数えてわくわくして、どきどきして、わけもなく落ち着きなくなってきたり。そして、当日には、いつになくテンションが上がって、ふだん全く手が伸びないようなピンクの花柄のスカートとか履いてたり。
 友だちと新大久保に行って、東方神起のDVDやらグッズを見ながら、ものすごく他愛のないおしゃべりをしまくって、ほんとにびっくりするくらいあっというまに時間が経って、気がついたら日が暮れかかっていたり。東方神起のファンの人とは、初対面でも、ずっと前からの知り合いのように話が盛り上がって、すぐに仲良くなっちゃったり。たとえふだんはつながりのないような女性同士でも、一緒に、心からたのしんで、時を忘れてコーフンして語り合えるなんて、すごく刺激的でうれしいことだ。

 それから、例えば50代から60代くらいの、もう子どもも東方神起と同じくらいっていう主婦の方が、東方神起に堕ちてから、情報やら、写真や動画を見るために、今までまったく使わなかったパソコンを使うようになった、とか。ひとりで夜に外出なんてありえなかった人が、夫には軽くごまかすようなことを言いつつ、コンサートにでかけちゃう、とか。そんな風に、それまでは夫や子供の世話のために生き、自分のことは二の次だった主婦が、自分だけの時間をもったり、自分本位に行動することって、あまりないことだっただろうと思う。主婦は夜に家をあけるもんじゃないみたいな、たとえばそんな考えに縛られていたかもしれなくても、でもそんなことを手放し、多少罪悪感を感じたり、非難されたりしても、どうしても行きたいっていう思いを、それほどの動機を東方神起は与える。そして、そのために、東方神起に会いに行くために、パートに精を出してみたり、ありきたりの日常をいつもよりがんばれたり。
 わたしの母も、もう70歳を越したけど、写真一枚でウキウキできたり、ほんとに最高の老後のたのしみだわ、って、こんなありがたいことないって言っているけど。CDやDVDや、それからコンサートのチケットやグッズを買ったり、ある程度のお金はかかるかもしれないけど、ブランド物を買いあさったりなんてことよりはかわいいものなんだろうし、だれかをうらぎったりするようなことでもないし、なんて健全で、なんて前向きで、たのしい世界だろうかって思う。

 主婦だけの話じゃなくて、いろんな女性の生き方を変えたり支えているだろうと思う。わたしも今、もう若くもないのに、外国で学生をしながら、先の見えない毎日を生きてるけど。こんな縁もゆかりもない異国の地で、家族もパートナーもいなくて、ほんとにひとりぼっちで、すごい孤独、とか思いつつ、だけど、こうやってなんとか自分で自分のしたいようにして生きてるってことに、ふと、にやっとしてしまう。こんな生き方を選べているのも、こんな風に、いさぎよくひとりでいられるのも、東方神起がいたからかも知れない。まぁ、もし、東方神起がいなくても、こうだったとしても、やっぱり、今のわたしの毎日に、精神的なわくわくを分けてくれているのは東方神起。東方神起と東方神起が与えてくれたおんな同士のつながりの世界。これがなかったら、ほんとにさみしくて味気なかったと思う。自分の家族をもつでもなく、だれかと付き合うのでもなく、東方神起にたのしさや刺激を求めてるなんて、もしかしたら、今のわたしは、とても「さみしい人」なのかも知れないけど、はたからどう思われようと、今のわたしはこれ以上でも以下でもなくて。
 何かと決まったしあわせ像を押し付けられる世の中だけど、東方神起は、みんなの東方神起で、どんな境遇で、どんな毎日を生きている人にも平等に魅力をふりまいてくれるし、みんなを包み込んでくれる。コンサートのDVDを見てると、ふと観客席の方にくぎづけになってしまうことがある。ほんとにみんな、そこにいるだれもが、ほんとうにほんとうに幸せそうな顔をしているから。あんな笑顔、大人の、はちきれそうなほどの本物の笑顔なんて、ふだんなかなかお目にかかれない。

 もちろん、コンサートって、すごく特殊な時間と空間だし、そうやってコンサートがすごくて、そしてファンが夢中になるのは、なにも東方神起だけじゃないだろうけど。東方神起は、特に多くの女性たちを熱狂的にくぎ付けにしてきた。大人のおんなたちを夢中にさせ、満足させる極上の娯楽であり、それだけにとどまらない東方神起。コンサートでみんなでやる、合い言葉、というか、掛け合いがあって。ふたりが「We are?」といったらファンはそろって「T!!!」とこたえる。東方神起のT!そんなわたしたちの光景を見て、宗教みたいだ、なんて揶揄するようにいう人もいたけど、たしかに、こんなに東方神起にはまりこむのって、どっか、宗教に似ているのかもとわたしもちょっと思ってた。
 自分の心に向き合うのに、なんとなくふたりに話しかけるような思いになってみたり、つらいときに問いかけたくなったりとか、そんな存在でもあったから。だけど、やっぱりちがうな。だって、あたりまえだけど、ユノとチャンミンは人間だから。わたしたちと同じように悩んだり、日々ささいなことにも葛藤しながら生きてるのだろうから。彼らも傷ついたり、つまづいたり、何かに翻弄されながら一生懸命生きてるから、だから、いいんだから。キラキラした時間を共有しながら、一緒に、この時代を、この世の中を、もがきながら、生きていたいなと思う。支え合いながら。東方神起も、トンペンも、みんなで。

 わたしたちの人生に、純粋でゆたかなたのしみを与えてくれた東方神起。兵役から無事に戻ってきてくれたら、またコンサートで、たくさんのトンペンさんたちにも再会したい。みんななんとか、この東方神起不在の時間をのりきれるといいんだけど。なんとなく今がいちばんしんどいときのような気がするんだけど、がんばろう。We are T !!!

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おのゆり(おの・ゆり)

大学院生。
1974年生まれ。東京出身。女性学修士。2012年に渡独し、現在、大学のジェンダースタディーズ博士課程で、フェミニズムや女性運動について研究中。もうそんなに若くもないのに、ひとりドイツで、貧乏学生生活送ってます。トンペン歴8年。 

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