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おかんとコピVol.7 へそ天とエイの干物

李信恵2019.12.19

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コピが我が家に来てから、あっという間に3週間が過ぎた。初めて猫を飼うことになった家族は、毎日のように驚いていた。それまで、犬を飼ったことはあるが、猫はまたちょっと違う。生後2週間が過ぎたころ、そろそろ自分でトイレができるようになるかと思い、猫用のトイレを買いに行った。少し前にテレビでアイリスオーヤマの特集をしていて、「上から猫トイレ」は砂が飛ばない新発想で、大評判とあった。なので、当初はそれにしようかなと思ったけれど、子猫にはやや大きく、成長してまた買い替えるのもなあと思っていたので、結局はユニ・チャーム ペットケアの「1週間消臭・抗菌 デオトイレ」にした。当初は私の部屋だけで買う予定だったし、部屋を締め切ったとしても匂わなさそうで、子猫でも入りやすい高さだったからだ。

トイレを購入し、シートと砂をセットし、ティッシュでお尻を刺激して排泄を促したコピをその上に座らせた。上手にできた。すると、次から自分でちゃんとのトイレに行き、きちんと用を足した。「1回でトイレを覚えた!この猫は天才ちゃうか。教えたわけでもないのに、自分で砂を掻いて隠すし」「猫はそれが普通やろ」「犬だったら散歩に行かなきゃいけないし、外だったらたいていはどこでもするのに」「そりゃ犬だから」と云うようなやり取りをした。トイレに行った後、コピは鳴く。まだ小さいから、用を足した後に親猫になめてもらう名残があるんだろう。そのたびに、「コピはお利口さんやね、賢いね。きちんと出来たね」と声を掛ける。だって、親バカだから。やや大きくなった今でも、やっぱりトイレのあとには鳴く。「とっとと片付けろ」とでも云ってるんだろうか。

トイレができるようになったころ、歯が生え始めた。猫は、生後2~3週齢頃から乳歯が生え始める。なので、離乳食も始めた。最初は食べやすいようにと、ウエットタイプのごはんを用意した。お皿に入れて、顔に近づけるといきなりがつがつ食べた。おい。「ずっとミルクを飲んできた子猫は、食べることに慣れていないので、最初は離乳食を食べないことも。徐々に慣らして」とかネットで見たけど、そんな心配はいらなかった。でも、あいかわらずミルクもいっぱい飲む。爪も伸びてきて、ぎゅっとつかまれると痛いのでこまめに切ったりしながら、小さな生き物がすくすく育つ姿がたまらなくいとおしいと感じた。

コピが我が家に来たのは3月31日なのだが、実はその前から韓国・釜山に2泊3日で家族旅行をする計画があった。その間、コピをどうしようかと思い、とりあえずペットホテルを調べてみた。預ける条件として、ノミがいないことと、ワクチンの接種を済ませていること、などがあった。当初、動物病院ではノミはいないという話だったけれど、目の細かい櫛でコピの毛をとかしていたときに、小さい何かが通り過ぎたように見えた。そして、病院に行った際に改めて調べてもらうと、ノミの糞が見つかった。でも、3回目の通院の時もまだ小さい(400グラム)ので、ノミの駆除の薬は使えないとのこと。600グラムが過ぎるまで、待つようにと云われた。また、お風呂にいれたりするのも、抵抗力がないからダメで、櫛ですくぐらいしか方法がなかった。

さらに、ワクチンの接種は2か月過ぎてからと云うことなので、ペットホテルで預かってもらうことはどちらにしても無理だった。旅行を取りやめようかと思った時、ひらめいた。友人に連絡し、いきなり「猫好きやったっけ?」と聞いてみた。すると、「好きやで。昔飼ってたし。でも、今の家では飼われへんねん」と返事が来た。「ちゃうねん、飼わんでもいいねん。旅行に行きたいねんけど、これこれこんな事情で」と話すと、「預かるんやったらいいよ」と快諾してくれた。良かった、本当に良い奴だ。「今からおまえは、おれの親友だ!心の友だ!」 (ジャイアン)みたいな気分になった。

そして、出会って初めてコピと3日間離れて釜山に行っていたのだけれど、街中のカフェの看板には 「커피 (コピ、コーヒー)」とあり、それを見ては「コピはお利口さんかな、寂しくないかな」と心配していた。

また、市場に行けば、魚屋さんの前で干されたエイを見て、「コピに似ている」と思ったり。

コピはこのころ、ミルクを飲んでは私の膝の上でぐっすりと眠ることが多かった。あおむけで、おへそを丸出しの無防備な姿で。その姿は、「へそ天」と云うらしい。本来お腹は動物にとっては弱点なので、あおむけになることがない。けれど、安心しきっている時や信頼する人に甘える時には見せる姿だという。それを知ったら、ますます嬉しくなった。まあ、エイに似ているけど。

一方コピは、友人の家の中を探索し、いっぱい食べて、すやすや眠っていたそうだ。親の心子知らずだ。でも、周りからも愛情をいっぱい貰って、コピはぐんぐん大きくなっている。

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李信恵

李信恵(り・しね)

1971年生まれ。大阪府東大阪市出身の在日2.5世。フリーライター。
「2014年やよりジャーナリスト賞」受賞。
2015年1月、影書房から初の著作「#鶴橋安寧 アンチ・ヘイト・クロニクル」発刊。 

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