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1年前からカウンセリングを続けてきたOさん、40代。
来所当時は、夫のモラハラ、夫婦の関係に行き詰っていました。
名門の女子高、女子大卒で、育ちのよさ、お嬢様育ちが一見してわかるOさん。夫は、有名大学卒で一流企業勤務です。2人はお見合いで出会い、短いつき合いで結婚を決めています。学歴、職業、経済力と、条件的にお互い不満はなかった、のでしょう。

ただ、結婚当初から夫の言動には違和感や不当だと感じる点が多々あったというOさん。始めのころは「思うこと、言いたいことは言っていた」そうですが、なぜか夫とは話しがすれ違う、話し合いにならない。自分が折れないことにはおさまらなかった。
ただ「結婚なんて、夫婦なんて、こんなものか」と考えるようになり、「まともに相手をすると、かえってスイッチが入る。やり過ごすしかなかった」と言います。

そうか、早い段階で「何か変・・」と、気づいていたようですね。

そのうちに、子どもたちの塾や受験、PTAと、Oさんの生活は、子育てを中心にあわただしく過ぎていきました。子どもの教育に、時間とエネルギーを注いできた日々の連続。
おかげで、夫と向き合うこともスルーできたし、身勝手で横柄なモラハラ夫のことも、見て見ぬふりしてこられたのでしょう。

Oさんの夫は、職業柄、社会的地位も経済力もある人です。
閑静な住宅地の一軒家に住み、生活レベルはそこそこ以上、子どもの教育に十分投資できる経済的環境・・・外から見れば、Oさんは何不自由ない暮らしをしているように見えるでしょう。
外から見れば、の話しです。

さて、そうこうして二十数年がたった今、子どもたちも自立していき、お二人さまになる時期がもうすぐそこ。子どもがいたから、彼らをクッションにしてきたおかげで、何とかもたせてきた夫婦関係です。同じ家に暮らしながら、今はほとんど顔も合わせず、会話もありません。
「2人だけで暮らす生活なんて、考えられない・・・」。
これまで目をつぶってきたことのツケが、一気に押し寄せてきた様子です。

そうですか、まず、ここまではよくやってきましたね。お疲れ様です。
 それで、ここでは何を考えていきたいですか?
 夫のことは見ないように、目をつぶってきたおかげで生き抜いてこられた。それはそれとして、彼の経済力も使わせてもらって、子どもたちも無事に育ったことだし、そうするしかなかったあなたの選択にはそれなりの意味があったといえるでしょう。あなたなりに、頑張ってきたんですからね。
 ただ、子どもを理由に、子どもの将来のために、と自分に言い聞かせてきたあなたの人生、もうその言い訳も使えないですよね。
ここに来たのはワケがあるんでしょ?
これまで後回しにしてきた夫婦の関係、どうしましょうね。
相手がどう思ってるかわからないけど、Oさん自身、このままでいいとは思ってないんでしょう?


 相手がDVであれ、モラハラであれ、経済力がある夫を手放すことに躊躇する妻は、正直いって、けっこういます。
夫はいらない。けど、経済力は要る、なくては困る。
そう、それだって大事なことです。これだけの犠牲払って生きてきたんだ、当然の権利よ! そのとおりです。
 わかった。じゃあ、どうする? ってことですよね。

面接当初は、世間体や将来の生活不安、成人したとはいえ、まだ未婚の子どもたちへの配慮、夫への恐怖心など、気持ちはないまぜのまま、揺れ動くばかりでした。
 そんなOさんと、自分の人生を語ってもらうセッションを続けてきました。
「ナラティブ・ストーリー」です。
「私」が生きてきた中で、成育歴や本来どんな子どもだったのか、うれしかったことや辛かったこと、幸せな思い出や出会い・別れ、得たもの、失ってしまったもの、取り戻したいもの、今からでもやりたいこと、そんな自分を語る作業は自己洞察を深めていく時間です。

私たちは、つい目の前のことに翻弄されがちです。でもね、そんな時こそ、じっくり自分の気もちや感情に目を向けてみてください。
なんで腹が立つのか、不安なのか、悲しいのか、寂しいのか、揺れてばかりいるのか・・・心の底にある欲求、自分のニーズって、けっこう見えてくることがあるものです。そこにきがつくと、感情の意味がわかる。感情に支配されにくくなるんですよね。

さて、1年後の今、Oさんは現在別居中です。
弁護士を立て、婚費の請求と離婚調停を申し立てています。両親が遺した実家もあり、理解のある姉が心強い支援者です。

モラハラ夫の抵抗は、今後どんなふうに展開するのか、予測不能で、まだ先が見えない面もあります。でも、やみくもに不安をかかえていた、世間体を気にしていた、当初のOさんではありません。
正職の仕事を見つけたのも立派!
あきらめないでよかったですね!
もうひと踏ん張り、一緒に頑張りましょう!

※お断り/実際のケースではありません。いくつかの相談事例をアレンジしてご紹介していることをご了解ください。

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具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んで20年あまり。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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