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私の母T子さんは84歳のおひとりさま。5年前に父を見送った後、今は自由で幸せなおひとりさまライフを送っています。

「今が一番しあわせ!」と言う母。心の底からそう思っているのがわかります。
父が亡くなってから、母自身の「身終い」も始まりました。今後のことは、いつ、何があるかわからない年齢です。お墓も準備できたし、自分自身の整理をしています。そういう点では、手のかからない母で助かります。

週1回1時間のヘルパーさんの支援をうけて、自立した一人暮らし。一人で住むには十分すぎる広さのマンションで、食事も自分で作るし、我が家よりもよっぽどキレイでスッキリと整理整頓された部屋は、お見事です。ほんと心から立派!と思う。
ただ、近隣に住む妹がサポートしてくれるので安心とはいえ、「一人暮らしもそろそろ無理かも?」そんな時期です。
自分を犠牲にして、周りの世話ばかり、仕事のしずめ、6人の子どもを産んだことも、当時のT子さんには心身に大きな負担でした。自分だけの時間が持てる今、この静かで豊かな時間をもう少し続けていかなきゃね。誰かのために、自分を犠牲に切り売りして夢中で生きてきたものね。もう少し、この時間が続いてほしい。埋め合わせてほしい。もうちょっと生きて、元をとろうよ。ね、T子さん。

「誰にも迷惑をかけたくない」というT子さんの強いこだわりは、自分が人に迷惑かけられ続けたことの裏返しです。そうです。ず~っと迷惑をかけ続けた、手のかかる人がいたせいです。
その張本人は、ズバリ、夫(=私の父)でした。
妻に甘え、自分を甘やかして生きた父のせいで、T子さんの人生は大変でした。
そして、もちろん子どももです。
あの人には、みんながそれぞれ、迷惑かけられたんですから。

父のことは、正直言って、あんまり書く気にならないのですが、親は親ですから仕方ありません。根っからの悪い人じゃない、とかばいたいところだけど、だからこそやっかいで、こちらもやりきれなさにからめとられるんですよね。
私は辛うじて親のすねをかじったほうですが、妹や弟たちには、かじれるほどのすねは残っていませんでした。私のせいじゃないとはいえ、でも、申し訳なさは残ります。
妹たちは自由に進路も選べなかったし、進学校にいながら、大学目前ではしごを外された弟は特に、自暴自棄で荒れたのも当然です。すさんだ生活のギリギリのところで引き返してくれて、大学もすべて自力で成し遂げたところは、さすが我が弟君! 頭が下がります。
弟をみていると、満たされなかった親からの愛を、自分が家族にできる限りの愛情を注ぐことでバランスをとっているよう。過剰にすら見えるけど、それが満たされなかった自分への愛する形でもあるのかな。いまだに父に対するしこりがふっきれていないし、その屈折した思いがはがれない。
まだ許せないんだよね。でも。、許せないことも、きっと苦しいはずです・・・。

そんな家庭で育つと、
人に甘えず、頼らず、独立独歩で生きるしかなかった・・・
今となっては、みんな頑張るしかなかったから、
それも結果オーライって言えるけど・・・
子どもは、かなりムリしてきたもんね。
子どもらしく、好きなだけ甘えられたら、そんな親だったら、どんなによかったか。
そして、お母さん、あなたにはそんなそぶりは微塵も見せないで
みんな、頑張っていたこと、知っていますか?


さて、T子さんの静かな時間にも、痛みやうずきがよみがえる時があります。
彼女の中で、心にささったままの棘が、何かの拍子にうずき始めます。
父に対する棘、義母への棘、義理の妹たちへの棘・・・
たいていは父がらみです。
仕方ないですよね。過ぎ去ったことが、彼女には過ぎ去っていないのですから・・・
ただ、フタをして閉じ込めていた諸々の棘の痛みや心の叫びが、終焉がちかづくにつれ、捨て去りたいがためにガタガタと外に飛び出そうとするのですから。

「嫁」の立場で、当時は何も言えなかった、いろんなを飲み込むしかなかった、従わざるをえなかった、屈辱的なことを言われた・された・・・そんな古い、何十年も前のことが、引き戻されてくる時間は、頭の中の古いテープが巻き戻されます。同じ話が自動再生されるように。もう50年も60年も前の話を・・・。

母娘関係で、ここがいちばん厄介なところです。

母のような人はカウンセリングには行きません。
娘にだから言いたくなる。わかってくれるでしょ、となる。
正直言って、少しならいいんです。
できればその棘、抜けるものなら抜くしかない。だけど、なかなか抜けない。
私がつきあうにも限界がある。
「やっぱり無理」「もう聞きたくない」・・・たいてい、途中でそうなってしまう。

お母さん、私はあなたのカウンセラーにはなれないよ・・・
娘だからね。
お母さんの話を聴いてると、どうしても感情が動いてしまう、
気持ちが波打って、苦しくて、もうやめて、って叫びたくなる・・・
それでも、あなたは一度スイッチが入ると、同じ話を繰り返す・・・

言いたい気持ちはわかるんだよ。
辛かったあなたの気もちがわかるだけに、私まで怒りで苦しくなってくる。

なんでガマンしてきたのよ。
逃げればよかったじゃない・・・そんなサイアクの言葉をぶつけたくなる・・・

いや、それはマズイ。仕方がない、もう少しつきあおう、
でも、今日はどこまでつきあえるかな・・・
私がいいと思えるところまで・・・
その繰り返し・・・

いい娘やってるつもりなかったけど、
マズイなあ。私も、やっぱり母娘関係か~!

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具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んで20年あまり。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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