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このところ、子どもへの性教育の話題が紙面をにぎわせています。
子どもたちの身近で、現場にいる人ほど、その子たちの年齢や育ちにふさわしい正しい知識を教え、伝えようと努力されているにもかかわらず、現状に疎い人、稚拙な知識しかもたない人ほど、「性」や「性教育」に過剰反応して、偏見やゆがんだ価値観で「性」を矮小化するような対応に終始しているように思えます。

私たちおとな自身が、教育の場で「性」をどのように教えられてきたかを考えても、「性教育」を学んだ記憶も家庭で親などから話題にされたこともほとんどないといえます。
日本の性教育は、先進諸国の中でもほとんどなされていないと言われているにもかかわらず、今だに子どもたちへの知識教育や正確な情報提供は不十分と言わざるをえません。それが、どれほどの危険、リスクのあることか、その現実に目を向けようとしない、現実逃避したがる人が多いからだろうと思います。

東京都足立区の中学校での授業(2018年3月)を、「性交」や「避妊」を問題視して「不適切」「ふさわしくない」と問題視した都議や都教委の指導には、多くの反応が寄せられたとききます。
私自身、中高生に授業をする立場として、あらためて考える機会になっています。
教員の立場と違い、専門家として外部講師の立場で行う授業は、信頼関係をもとに依頼されることが多く、その内容や手法はある程度任されています。教員にとっては、日常的に児童生徒とつきあうからこそ、ストレートに言えない葛藤もあるようで、そこは外部の人間だからこそ、生徒たちも別の姿勢で向き合ってくれる気がします。

「性」を正面からとらえない、教えようとしない、避けようとするのは、「性」への偏見やおそれ、無知からくるのではないでしょうか。

「いのち」や「人権」「健康」「人間関係」「自己決定の尊重」などの視点で教育すべき重要なテーマなのに、「恥ずかしい」「いやらしい」「わいせつ」な問題行動ととらえているほうこそ問題です。今だに「寝た子を起こすな」と言う人もいて、認識の古さを痛感して力が抜けます。
朝日新聞によると【東京都教育委員会は、足立区立中での授業について、小中高のいずれの学習指導要領でも扱いがない『性交』、高校で扱う『避妊』『人口妊娠中絶』を教えたことは、『中学生の発達段階を踏まえてふさわしくない』『性交を助長する可能性もある。必要があれば個別指導がふさわしい』】というスタンスだそうです。
この「性交を助長する可能性」の認識が逆に歪んだ認識なのですが、ほんとにどうにかならないものでしょうか。

子どもたちの年齢、多様性、実情に「ふさわしい」性教育とは、模索しつつ取り組んでいる身としては、彼らがいかにまじめに話を聴いて、考えてくれるかを感じることが多いです。質問や感想を話してくれる生徒は、自分の行動に責任をもとうとする姿勢がほとんどです。授業の後で、こんな質問や感想をもって近づいてくれる生徒たちがいるのです。

*一回(セックス)したら、今は会うたびに求めてくる。前は、いろんな話しして楽しかったのに、会うとすぐに身体をさわってくる。カラダだけが目的みたいでつきあうのが辛い。こんなカレシ、もう別れたほうがいいですか?(高2女)
 ずいぶんガマンしてきたのね。こんな関係いやなんでしょ? どうしたいのか、自分でもわかってるんじゃない? あなたのことがほんとに好きなら、嫌がることを無理にしちゃだめでしょ。きちんと話し合いができる相手なら、まずその気持ちを伝えてみようか。自分が傷つくような交際なら、考え直してみるしかないね。

*実は・・・、はじめは避妊(コンドーム)してくれるけど、知らないうちにはずされていた。「妊娠したらどうするの!」と怒っても、外で出すから大丈夫って。「外出しは避妊じゃない」と教えてもらったので、彼氏に言います。(高1女)
 そんな危険なセックスしてて、妊娠しなかったのは「不幸中の幸い」と思ってね。あなたの身体なんだから。妊娠、したくないでしょ?(ありえないです!やばいですよ)
男の子たちは正しい知識をもってないことが多いの。そんな無責任な彼氏の言葉じゃなく、正しい避妊の方法や知識をあなたがもたないとね。このカレシ、ちょっと心配だなあ。あなたの身体に起こることは誰にも代わってもらえないんだから。これからのためにも、女の子が自分で避妊できるピルも、考えたほうがいいね。それが買えない、使えないようならセックスしない、ってこと。妊娠、したくないでしょ?

*妊娠なんて、めったにしないと思ってた。1回でも妊娠することはあると聞いてビックリ。これからは彼女とよく話し合います。(高3男)
 そうしてください。2人で正しい知識や情報を知って、いい関係を続けてね。

*自分にはまだ関係ない話だったけど、彼女ができたらちゃんとコミュニケーションをとりたい。相手を傷つけないように、大切につきあいたいです。(高1男)
 そうね、いつか好きな人が現れるもんね、きっといい交際ができるよ。楽しみだね~。

生徒たちの多くは、授業をとおして、自分の行動をふりかえったり、今後は責任ある慎重な行動をとろうと、とてもまじめに考えてくれます。「性交を助長する」と懸念しているおとなのほうが、よっぽど不見識で問題あり。

性教育は、「性」が私たちのもっともデリケートな「人権」に基づくことを教え、健全なからだと心の発達過程に起きる変化や相手を尊重する人間関係の学習でもあるのです。
そのためにも、まずはおとなが偏見をもたず、子どもたちに正しい知識と姿勢を示せるよう学ぶことが求められているのではないでしょうか。

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具ゆり

具ゆり(ぐ・ゆり)

フェミニストカウンセラー
フェミニストカウンセリングによる女性の相談支援に携わっている。
カウンセリング、自己尊重・自己主張のグループトレーニングのほか、ハラスメント、デートDVやDV防止教育活動など、女性の人権、子どもの人権に取り組んでいる。
映画やミュージカルが大好き。
マイブームは、ソウルに出かけてK-ミュージカルや舞台を観ること。

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