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LPC官能小説♡新連載スタート!第一回「その男〜四条丸 走〜」

鍬津ころ2016.06.03

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 日曜日の昼下がり、起きてからつけっぱなしのテレビを、ぼんやり眺めてた。
 唐突に、画面からハミ出しそうなほどたくましい、パツパツの筋肉に覆われたボディが現れた。
 大木の幹みたいに太い首で繋がった顔が、赤銅色に日焼けしてる。ちょっと幼さが残る、ぷっくりした唇。濃い眉の下の、意外に黒目がちな瞳。頭のてっぺんを、キューピーさんみたいに尖らせた、独特のヘアスタイル。
 『四条丸走(しじょうまる・かける)選手はケガのため……』
 彼の写真を背景に、アナウンサーの声が流れる。そうそう、四条丸クンていったっけ。去年、日本中を熱狂させたスポーツ選手。

 私はいつの間にか身を乗り出し、テーブルに肘をついて、食い入るように彼を見つめてる。
 改めてバストアップをマジマジ見ると……ヤバいわ。ヤバいくらいに、このひと、ええと、なんて言ったらいいのかな。ステキ、カッコイイ、たくましい、そんな言葉じゃ足りない感じ。
 半袖シャツの袖がはち切れそうなほど盛り上がった二の腕の筋肉。ツヤのある肌。腕組みした指先がちょっとだけ覗いてて、短く切りそろえた爪先が、粉をふいたように白っぽく見える。強烈なパワーを楽々と抑えこみ、いつでも好きなときに爆発させられる、余裕に満ちた肉食動物みたい。

 ……美味しそう。そう。美味しそうなの。
 彼と比べたらハムスター程度だけど、それでも一応オトコだったヤツと別れて一ヶ月あまりだった私に、彼の存在感はあまりにも鮮やかだった。
 1人きりのワンルームに、ゴキュン、と音が響く。恥ずかしながら、私、喉を鳴らしてた。だって。
 写真が動画に切り替わったの。試合中か練習中か、彼、短パンからフライドチキンみたいにモリモリした太腿を剥き出してる。おおきく股を開いて、腱が浮き出したスネを蹴り出す。評判になった例のポーズを取るときの、肘の関節のセクシーさ。合わさった人差し指の先が、ハッとするほど繊細で、熟練の外科医みたいに的確で。ああ、あんな太腿に挟まれて身動きもできず、あんな指でアゴの下を撫でられたら……ううん、彼の攻撃力は、そんなものじゃないはず。
 ずんぐりして見えるけど、実際はとてつもなく器用に違いない指が、私のチョロい抵抗なんか軽くいなして、Tシャツの中に入ってくる、絶対。そして、扱いにくそうな形のボールを完璧にコントロールするように、私のブラに沿わせ、ワイヤーの下に潜らせて、鳥肌が立つようなタッチダウンをキめるの……。

 「ひッ……!」
 声まで出ちゃったのは、妄想のせいじゃない。そのとき、ピンクの靄に包まれた幻にかぶさるように、インターホンが鳴ったから。
 ああもう、なんなのよ、ヤめてよね、バカみたい!
 自分の妄想か、無粋な訪問者か、どっちに腹を立ててるのかわからないまま、私はテレビのスイッチを切った。
 半ば想像通りだけど、ドアの外からは、詐皮急便です、の声。そういえば、オトコと別れた腹いせ(?)に、ワンダーコアスマートを注文してたんだっけ。あれ、届くの今日だったかしら。
 あーハーイ、なんて気のない声を返しながら、私はドアを開ける。そのまま、カクンをアゴを落として棒立ちになる。

 目の前には見慣れた青とボーダーの制服。だけど、その袖はパンパンに膨らみ、ボタンが弾け飛んだように開いた衿元から、ツヤツヤと盛り上がった胸筋が覗く。たくましい首、微笑みをふくんだ黒目がちな瞳……まるでこの人、まるで……。
 「お届け物です、重いですよ、大丈夫ですか」
 彼が何か言ってる。ウソでしょ、さっきテレビに出てた人が、何で私にワンダーコアを届けてるワケ?
 「え、え……っ、キャッ!」
 「あ、危ない!」
 私、無意識のうちに彼が抱える荷物を受け取ってたみたい。ほとんど虚脱状態だったから、ちゃんと持てるわけがなかった。当然、私は長さ1メートルはありそうな平たい箱を取り落とす。彼がとっさに膝を屈め、受け止めてくれる。
 よろめいた私は、彼の両肩にすがりついた。床と玄関の段差のせいで、私達、ちょうど目が合う高さになってた。
 「……大丈夫?」
 さっきテレビで聞いたばかりの、太くて豊かな響きの声。間近で聞くと、それほど低くはない。そして優しく細められた目が、私を正面から見ている。
 大丈夫、じゃない。蕩けちゃいそう。
 「あ、ごめんなさい……」
 ワザとじゃないけど私、まともに立っていられなくて、膝が崩れかけた。けれど崩れなかった。ムチッとした、熱い、スゴい弾力に支えられていた。
 いつの間にか荷物を脇に置いた彼の両腿に、私の膝から上が、がっちり挟まれていたの。驚いて足を引こうとすると、彼の腿の筋肉がピクピク動いて、グッと力が入った。逃げられない。どころか一層密着して、私の腿は彼の腿の付け根の、真ん中の、ああ、冗談みたいに大きく盛り上がっている部分に触れかけてる。

 「……大丈夫には見えないなあ」
 からかうような声と一緒に、私のふくらはぎほどもある腕が、背中に回る。あの大胆なのに繊細な指先が、私の肩甲骨の下を撫でる。あ、ソコ弱いの、どうして知ってるの?
 そしてもう片方の腕は、妄想通りに私のTシャツの下に……。妄想と違うのは、私がノーブラってところだけ。ノーガードのゴールポイントに、彼の巧みな指先が……。
 「あ、あッ、ああン!」
 意外にしっとりした指先が、私の乳首にグランディング。どの角度からどうすれば、私がどうなっちゃうか、知り尽くしたようにコネコネされる。あぁぁ、そうなの、私、サイドが弱いの。付け根をグルグルされると、先っぽまでキュンキュン痺れて、すっごくカタくなっちゃうの。
 「んん……そんなぁ……」
 彼の足ワザもすごかった。私、いつの間にか彼の腿に跨がるようなかっこうで。彼、ドアに背中を預けただけで私の体重を支えきって、もうナニか入れちゃってるみたいに、下から揺すりあげてくる。その度に、彼の熱いカタマリに腿がこすれる。小刻みにピクピクする筋肉の束に、私のアソコがこすられる。筋肉のミゾみたいな部分に、私のピンクの突起が挟まって、まるでしゃぶられてるみたい。
 たまらず、彼の胸板に頬を押しつける。制服の布越しに、モッチリした滑らかな堅さを感じる。その、彫刻みたいに鮮やかな凹凸にウットリする。
 「あ、もう……」
 このまま、入れて。
 そう、口走りそうだった。一突きでイケる。そんな確信があった。
 次の瞬間。

 ピンポーン。
 再びインターホン。
 え? どういうこと?
 あたふたと周囲を見回した。私は一人、テレビの前。どうやらテーブルに突っ伏してたみたい。もう一度、インターホンが鳴った。
 何よ、夢? 夢だったの? まさか、正夢……?
 立ちあがったとき、アソコが恥ずかしいほど濡れてるのがわかった。仕方ない。本当に彼の声も、指も、筋肉も、リアルだったんだもん。ドアを開けたら、本当に彼がいたって驚かない。
 私は、一度ギュッと腿を閉じ合わせて気合を入れ、髪の毛もササッと整えて玄関に向かった。

 ……5分後、私は大きな段ボール箱を抱えてボンヤリしていた。
 どうせ現実なんて、こんなもの。わかってたわ。
 ワンダーコアスマートを持って来たのは、見慣れたオジさん。青い制服を膨らませてるのは腹周りだけだった。

 「……あーあ、こんなコトなら夢の中で最後までイッちゃえばよかった!」
 せめて夢の続きを見られるように、これからクタクタになるまで腹筋でも鍛えようかしら……。

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鍬津ころ(くわつ・ころ)

札幌出身、東京在住。山羊座のO型。アダルト系出版社、編集プロダクション勤務後、フリーの編集者&ライター。2011年『イケない女将修行~板前彼氏の指技vs官能小説家の温泉蜜筆』でネット配信小説デビュー。近著『ラブ・ループ』(徳間文庫)。馬、鹿、ジビエ大好き飲んだくれ系アラフォー女子。タバコの値上がりには500円までつきあう覚悟。 

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