ラブピースクラブはフェミニストが運営する日本初のラブグッズストアです。Since 1996

  • TOP
  • 鍬津ころ
  • LPC官能小説第6回「喉が鳴る。灼けつきそうな刺激。全身がカッカと火照るように…」

LPC官能小説第6回「喉が鳴る。灼けつきそうな刺激。全身がカッカと火照るように…」

鍬津ころ2016.10.25

Loading...


 高原に吹く風には、紅葉シーズン独特の肌寒さがあった。
 有給消化のため、私は『Y県のワイナリー巡りバスツアー』にお一人様で参加したの。

 バスツアーなんていうと、おじさんおばさんが昼間から飲んで騒いで鬱陶しい、と思うでしょ? そういう部分ももちろんあるけど、行ってみると案外おもしろいんだから。
 お土産もつくし、個人旅行では無理なスケジュールも楽々。おっさん連中にお酒奢ってもらったり、お菓子買ってもらったり、最近体験する機会が減った「若い女のコ待遇」も満喫できるってわけ。
 もっとも、誘った女友達には
「ガチでムリ! そこまで落ちぶれてないし、ワインとかそれほど興味ないから」
 なんて言われちゃった。
 国産ワイン、美味しいのに。

 メインの観光地は、シャトーなんというテーマパークのお城みたいな建物。
 工場見学に試飲体験、レストランからスパまで揃ってる、まさにワインのテーマパーク。地下の試飲場は、中世ヨーロッパの古城をイメージしたという薄暗いワインカーブだった。

 せっかくだから、いつもは買う気にもならない高いワインを試飲しようと思った。
 大人の腰以上も高さがある大樽に、数本のワインが乗っている。入場時にもらう小さなカップに注いで飲み放題、というシステムなの。
 ただし、食物は持ち込み禁止だから、調子に乗るとあっという間に酔いが回ってしまうから要注意。実は去年、初めて参加したツアーで大失敗しているのよね。

 案の定、高級ワインを酎ハイみたいにガブ呑みしてる一団は、相当酔っぱらっているみたいだった。
 「お、珍しい、こんなとこに女子1人!?」
 「カレシとはぐれたとか? まっさかねー」
 「なあなあこれ、呑んでみた? 超ヤベーよ、1本はっせんきゅーひゃくえんだって! 逆に笑えねー!?」
 一斉に話しかけられて、思わず苦笑い。
 それほどおじさんじゃないし、ダサくもない3人組。だけど、一応公共の場でタダ酒に泥酔して、勢いで初対面の女子にこんなに馴れ馴れしくするなんて、かなりしょっぱい連中。
 喋っている間に調子付いたのか、1人が私の腕を掴み、酒臭い息にムッとするほど近くに引き寄せた。
 「俺のカップ、貸してあげるからほら、呑みなよ、間接チュー……なんちゃって!」
 自分の下手なギャグに大笑い。バカ丸出し。もう、つきあってられない。

 男の手を振りほどこうとした瞬間、その後ろから、逞しい腕がサッと伸びた。酔っ払いより一回り以上大きなてのひらが、容赦なくその手を握り込み、引き剥がす。男が、いてっ、とうめく。
 「……そのくらいにしておいたら?」
 同時に、小柄な酔っ払いの向こうに覗く、切れ長の優しい瞳。でも今は、目に余る酔態に、鋭い光を注いでいる。男達は一瞬でその眼光に呑まれたらしく、ひゅっと息を詰める音が3つ重なった。
 このひと、まさか。
 世界に名だたるアスリート・四条丸駆クン!?

 瞬きひとつの間に、私は別の場所にいた。
 ワインが並ぶ棚の隙間、ただのレンガ壁だと思っていた所が、細い扉になってたの。
 彼に腕を取られた私、あっけにとられた男達の前から、その奥に引き込まれていた。
 ワインカーブより暗いけど、広い通路が私の前後に広がっている。スタッフ用の通路なのかしら。
 「試飲の邪魔しちゃって、ゴメンね。でも、あんな奴らと呑んでも楽しくないかな、って……」
 さっきの威圧感が嘘みたいに、照れたように目を細めて、駆クンが言った。
 「いえ、そんな、助かりました…」
 「この先に、本当の貯蔵室があって、一般の試飲には出さない、超高級酒が眠ってるんだ。ちょっと試してみる?」
 彼は片手に持った大振りのワイングラスを軽く揺らした。あの騒ぎでも、一滴も毀れなかったみたい。これもアスリートならではのバランス感覚、なのかしら。
 グラスの方から、何ともいえない芳香が漂ってくる。

 頷くより先に、グッと抱き寄せられた。
 私に、と言ったくせに、彼、肉感的な唇をグラスにつけて、たっぷりと口に含む。
 「……んぁッ!?」
 セクシーな紫に染まった彼の唇が、私の唇に押し当てられた。
 「んっ、んむぅ……」
 重い渋さの中に蕩けるようなまろやかさを秘めた、駆クンそのものみたいに極上の赤ワインが、私の喉を滑り落ちていく。
 喉が鳴る。灼けつきそうな刺激。それがお腹に届き、全身がカッカと火照るよう。私、そんなにお酒に弱い方じゃないのに。

 「……お代わり、欲しい?」
 甘くいじめるように囁かれ、私は彼の腕の中で震えながら頷いた。何度も。
 そのたびに、彼は口移しでワインを呑ませてくれる。
 次第に、呑んでいるより舌を絡めている時間の方が長くなる。私は口に力が入らなくて、彼の舌にいいように嬲られながら、ワイン色のよだれを止めどなく流し続けた。

 「あぇ、な、ぁにしてうのぉ……?」
 キスから何とか逃れて、あえぎながら言った。だって、彼、私のスカートをまくって、パンティの隙間へ、指を。その指先から濃く香るのは、このワイン……?
 「ひゃぁああん!」
 ニュッと差し込まれた瞬間、思わず悲鳴が出た。軽くかき混ぜただけで、すぐに出て行ってしまった指が、私の目の位置にあるグラスのワインに浸される。
 「……あ、あぁ……」
 紫に染まった指が、再び私の中に入ってくる。また掻き回される。
 どんどん、たまらなくなる。

 私はもう彼に抱かれていなかった。自分から、必死になってすがりついていた。
 極上のワインを、口とアソコから、もっともっと極上のワインで塗り込められていくの。
 クチュンクチュン、アソコも悦びの悲鳴をあげている。
 視界に紫の靄がかかる。身体が融けて、ワイン色のトロトロしたゼリーになってしまいそう。
 「すご、いッ、すてき……っ! もっと、もっと入れて……蕩かして!」
 私、さっきの酔っ払いどころじゃなく快楽に酔いしれて、そう口走っていた。

 カラン!
 高い音がした。
 私、その場に尻餅をついていた。
 さっきより明るく感じる空間を見上げると、私を見下ろす顔、顔、顔……。
 「大丈夫ですか?」
 ツアーの添乗員さんが、呆れたような声をかけてきた。
 私の横には、試飲用のカップが転がって、紫の雫にまみれている。どれだけ呑んだのかわからないけど、気がつくと私、充分以上に酒臭い。
 「……はあ、まあ……」
 私、のろのろと起き上がりながら、小声で答えた。
 無意識に呑みはじめて、あんな妄想にハマるまで酔っぱらっちゃうなんて、アル中的には大丈夫じゃないかもしれないけど。

Loading...

鍬津ころ(くわつ・ころ)

札幌出身、東京在住。山羊座のO型。アダルト系出版社、編集プロダクション勤務後、フリーの編集者&ライター。2011年『イケない女将修行~板前彼氏の指技vs官能小説家の温泉蜜筆』でネット配信小説デビュー。近著『ラブ・ループ』(徳間文庫)。馬、鹿、ジビエ大好き飲んだくれ系アラフォー女子。タバコの値上がりには500円までつきあう覚悟。 

RANKING人気記事

Follow me!

  • Twitter
  • Facebook
  • instagram

TOP