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LPC官能小説第11回「優しい声が、温かい蜜のように私の身体を駆け巡り…」

鍬津ころ2017.03.28

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 咲き始めたばかりの桜を、冷たい雨がいじめてる火曜日。

 そんなに遅い時間じゃないけれど、残業した、というだけで私の頭と足は重い。しかも、あと三日も通勤しないと、休みにならないなんて。
 もうムリ。耐えられない。
 少なくとも、帰ってから有り合わせのもので自炊するなんて、今夜はムリ。

 だから、駅と自宅の中間にあるスーパーに寄ることにした。建物が古くて野暮なのが弱点だけど、駅直結の大型店みたいにエスカレータを上り下りしたり、長い列に並ばなくて済む。

 午後八時に近い店内は、夕食の買い物客も少ない。この店独自のダサいテーマソングが繰り返される中、中華料理っぽい香りが漂っていて、お腹が鳴りそう。
 そういえば彼、チャーハンのCMに出ているのよね。

 中華鍋の中で踊る具材より、もっと活き活きした雰囲気。一般人とは明らかに違う、鍛えまくった頼もしいボディと、輝くオーラ。
 そんな彼が、チャーハンを一口食べるやいなや、「好き!」なんて言って、照れ笑いをする。
 キュートなんてもんじゃない。
 子宮にクるって、こういう感覚じゃないかしら。
 決めた。主食だかオカズだかわからないけど、今夜はあのチャーハンにしよう。

 冷凍食品棚に向かうと、美味しそうな香りが強くなった。棚の横で、試食販売をしていたの。
 ピンと来て、ディスプレイを見ると、まさに私のお目当てのチャーハンだった。ラッキー!とばかりに私、販売員の背中に声をかける。
 「これ、くださいっ!」
 「あ、試食どうぞー……」
 声が重なる。そして振り返る、がっしりした長身。
 グリーンのバンダナで頭を覆い、同じ色のエプロンを着けた四条丸駆クンが、試食用の小皿を私の方へ差し出してる!?

 いやだ、私、食いしん坊と思われちゃったかも。
 エプロンの胸当ての左右から、ピチピチの白いTシャツに包まれた胸襟が、大きくはみ出している。よく見ると、小さな突起がさらに布地を押し上げている。さらに目を凝らしたら、色まで透けて見えそう。
 まるで裸エプロン。エッチすぎる!
 他のお客は何とも思わないの?

 そんなことが、バラバラに頭に浮かぶ。だけど、周囲に目を向ける余裕がない。
 「……大丈夫ですか?」
 彼、試食の小皿を持ったまま近付くと、小腰をかがめて私の顔を覗きこむ。
 チャーハンの香りと、円らな瞳が迫ってくる。心配そうに、ややひそめた眉間もすごくセクシー。
 ウインナーみたいに太い指が、頼りないスチロールの皿を潰さしてしまわないのが、不思議なくらい。
 CMの笑顔もイイけど、もしこんな表情で「好き!」なんて言われたら、言われたら、私、腰がヌケちゃう……!

 めまいに似た性感に貫かれて、私はギュッと瞼を閉じた。
 次に開いた目に映ったのは、焦ったような顔の彼と、その後ろで光る蛍光灯。と、いうことは私、仰向けになって天井を見てるんだ。
 「私も、す……!」
 「……突然倒れそうになるから、びっくりした……」
 また、声が重なった。
 バカなこと、口走らなくてよかった。
 ほんの一瞬、目をつむっただけのつもりだったのに、私ったら失神しかけていたみたい。

 見回すとそこは、スーパーのバックヤードらしかった。幅数メートルの細長い空間の両側に、ストックを積んであるらしいスチールの棚。
 私はどうやら、その真ん中に置かれたベンチに寝かされているらしい。
 目線を下げると、ベンチの端に大きなお尻をチョコンと乗せた彼が、上体をひねって私を見下ろしているのがわかった。
 彼、ホッと息をつくと、さっき小皿を持っていた指先で、私の前髪をかき上げる。

 「急病とかじゃなくて、よかったぁ……」
 優しい声が、温かい蜜のように私の身体を駆け巡る。
 ゾクゾクする。
 「……あの、チャーハンが、すっごく、美味しそうで……頭がイッパイに、なっちゃって……」
 私が、震える声でしどろもどろに言うと、彼はプッと噴き出した。
 「あんまり売れなかったんだけどね」
 ウソでしょ。
 デキる若奥さんみたいな格好の彼が、照れ臭そうな表情で、細心の注意を払って勧めてくれるチャーハンを、無視できる女がいるなんて!

 「そんな……! 私は好き! だいすき……」
 今度は自制する間もなく、その言葉が口を衝いて出た。
 逆光になっているにもかかわらず、彼は眩しそうに目を細めると、顔を逸らす。
 囁くような声で
 「ありがとう」
 と言う。
 もうダメ。
 私の中の何かが、激しい強火で煽られ、キュンキュンと疼いて、弾けそう。

 「……だから、私にも、食べさせて……!」

 私、操り人形のように上体を起こすと、彼の腿に触れた。
 彼は、そこをビクッと動かしたけど、私に顔を向けてくれた。
 私の頭の中は、ジャージャー音を立てて炒められる具材みたいに混乱している。
 サディスティックな長ネギ。トロけるようなチャーシュー。甘くほぐれていく、玉子とライス。

 私がエプロンを捲り、掴み出したときには、彼のモノはもう、すっかり大きくなっていた。
 私は身体を入れ替えるように、彼をベンチに引き倒しながら、彼の分身を口に含んだ。
 プルッとしたゼリー状の中身が、ギンギンに熱く、カタくなっているモノを、ゆっくりと頬張っていく。
 「……く……っ」
 私の口と舌に包まれて、彼が甘い声をあげる。
 これじゃチャーハンじゃなくて、棒餃子を食べさせてもらっているみたい。

 私は口いっぱいに彼を頬張りながら、喉の奥で小さく笑う。
 彼は、怯えたような声で、小さく
 「……笑うなよ」
 と言う。
 ごめんね。
 と言う代わりに、潤んだ目で彼を見上げながら、舌と喉で彼を締めつけた。
 チュポ、チュポッ。
 エッチな音が、薄汚れた空間に響く。

 私、さっきの彼の胸板を思い出して、たまらなくなった。
 エプロンの下のTシャツを、手探りで捲りあげる。
 記憶にある通りの位置で、ツンと尖っている乳首を、順番に突いてあげる。
 「ぉお……ッ、そこ……!」
 彼が、上半身をくねらせて喘ぐ。

 焦らすように一度唇を離し、筋肉に覆われたいかつい身体を見下ろす。
 鎖骨の辺りまでシャツを捲られた彼の、剥き出しの胸板が、エプロンの胸当ての左右から、淫らに覗いている。

 私、左手と唇で彼の乳首を苛めながら、右手で彼のモノを責めはじめた。
 プルンと可愛い感触の亀頭を撫で、はしたなく溢れてきた潤いを指にからめて、真ん中の窪みをグリグリ。

 コレ、いいでしょ? 好き、なんでしょ?「……ふっ、んんん、ぉおお……っ」
 男らしい善がり声を振り絞る彼に、
 「ねえ、言って? 好きって……言ってよ」
 自分の声に、牝蛇がからみつくような陰微な響きを感じる。
 私、声でも彼を苛めてる。
 「……はぁっ、はあ、はあ……」
 息が苦しい素振りで聞き流す彼。裏筋を爪先で引っ掻いてお仕置きする。
 「ぁおおッ!」
 いい声。たまらない。

 私、乳首にも歯を立てながら、サオをこする手の動きを早く、キツくする。
 アソコの奥が、超大盛りのオトコ飯をガツガツ食べているような、動物的な快楽に煮えたぎる。
 横座りになった腰を動かすだけで、子宮がイッてしまいそうな、悦びの火花が散る。

 「言ってよぉ、好きってぇ、ほらぁ、おち○ぽ、ガツガツ食べられちゃうの、好きなんでしょお?」
 涎を垂らしながら、私は言い募った。
 彼は瞳を潤ませ、顔を左右に振りながら、タフな風貌からは想像できないほど細い声で、
 「……ぅ、す、好きぃ……食われるの、イイ……ツ!」

 腰を激しく上下に振りながら、負けを認める。
 もう、イきそうなんだ。
 早いのも可愛い。
 とはいっても、私の方も、子宮どころか全身が、
 好き。
 イイ。
 イきそう。
 って、叫んでる。

 一緒よ、一緒に……焼き尽くされて、昇天するのよ……!

 後頭部に花火が上がった。
 と、思った瞬間、「あ」の形に開いた唇に、何かが突っ込まれた。

 え、え、なに?
 目を白黒させる私。
 口の中には、つぶつぶした、脂っこくて塩辛い何かが詰まっている。
 何度か瞬きして、視界をはっきりさせる。
 私、さっきの試食販売コーナーに突っ立って、口に突っ込まれたものを無意識にモグモグしているのだった。

 私の前には、体重だけなら彼と同じくらいありそうな、ダブついた身体のオバちゃん。
 グリーンのバンダナとエプロン以外、彼とは似ても似つかない。
 「血相変えちゃってえ、そんなにこのチャーハン好きなのお? 今日の売上げはサッパリだったんだけどねえ。ほら、お代わりもどうぞ。何なら残り全部、食べちゃいな」

 豪快なオバちゃんトークに、私は今度こそ失神しそうだった。
 脱力する足を踏ん張り、もうけっこうです、と強張った笑顔を浮かべる。

 だけど、家で一度このチャーハンをアツアツにしてみたら……。

 あの彼と、再会できるかもしれない。
 自分がムシのいいことを考えてるだけだって、私はわかってた。
 それでも例のチャーハンを3パック買って、足を引きずりながら独り暮らしのアパートに帰って行ったの。

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鍬津ころ

鍬津ころ(くわつ・ころ)

札幌出身、東京在住。山羊座のO型。アダルト系出版社、編集プロダクション勤務後、フリーの編集者&ライター。2011年『イケない女将修行~板前彼氏の指技vs官能小説家の温泉蜜筆』でネット配信小説デビュー。近著『ラブ・ループ』(徳間文庫)。馬、鹿、ジビエ大好き飲んだくれ系アラフォー女子。タバコの値上がりには500円までつきあう覚悟。 

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