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木嶋佳苗控訴棄却。「女の事件」から「男の事件」へ・・・

栗林デバ子2014.03.12

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こんにちは、デバ子です。

3月12日、木嶋佳苗被告(38)の裁判に行ってきました。
佳苗といえば、報道では、「婚活サイトで知り合った男性3人の死に関わったとして、詐欺や殺人などの罪に問われ、一審で死刑判決を受けた」人になるんでしょうが、デバ子的には、友達と北原さんの書いた裁判傍聴記「毒婦。」をテーマに読書会を開いたり、「モテ」とか「名器」とか「結婚」とかについて考えさせられたり、やっぱり「女の事件」の主人公って印象がある。
仕事じゃないけど、絶対見なくちゃと思ってました。


昼過ぎの東京高裁前はすごい数の人。テレビカメラは何台も来てるし、傍聴券に当たって「きゃーっ」って叫ぶ女の人もいて、ちょっとしたイベント状態。
13時半、佳苗は上下、赤いチェックのパジャマ姿で102号法廷にあらわれた。
控訴審の初公判も、赤いナイトウェア(アメリカのカジュアルブランド「ランズエンド」のもので、ネットだと5千円くらい。←デバ子調べ)にグレーのレギンスだったけど、赤は佳苗の勝負カラーなのかもしれない。


そして、判決はやっぱり、控訴棄却だった。
一審と同じく、佳苗は「死刑」ということだ。証言台に立って、手を前に組んで立っていた佳苗は、こくんこくんと二度小さくうなずいたように見えた。


デバ子は、2012年に、さいたま地裁で開かれた、通称「100日裁判」も、ほとんど見ていて、佳苗に判決が言い渡される瞬間を見るのはこれが2回目。
たぶん、そうだろうなぁと思っていたからか、1回目の時ほどショックは受けなかった。佳苗もそうだった気がする。被告人の席に戻った佳苗は、最初こそ、裁判長の方をじっと見て、話を聞いているようだったけど、だんだん傍聴席の後ろにかかげてある時計をチラチラ気にしていた。
時々、けだるそうに、ノートをめくって何か書き込んでいたけど、退屈だったのかな、と思った。
正直、デバ子もイラッとした。
なぜなら、約2時間にわたって、判決文を読み上げる間、裁判長は一度も佳苗の方を見なかったから。時々、紙コップに入った水を飲む以外は、ずーっと下を向いて文章を読んでた。
あなたの下した判決で、死刑になるかもしれない人が今目の前にいるんですけど!
さいたまの時は、判決も一般の人が参加する裁判員裁判だからか、判決文も簡潔でわかりやすかった(中身については、雑過ぎだろ!って思いましたが)。裁判員も裁判長もまっすぐ佳苗の方を見ていた。
なんか、「死刑」ってことの重みが実感としてわいてこない。

この日だけじゃない。去年の10月から東京高等裁判所で始まった控訴審もほとんど見たけど、さいたまと東京ではいろんな意味で対象的だったと思う。


「100日裁判」とも呼ばれ、公判がほぼ週3ペースでみっちり開かれた一審(朝、つらかった・・・)に比べ、控訴審はわずか3回で結審。
何より、さいたまでは、北海道から上京してからの愛人生活、男性観などを語った佳苗がほとんど話さなかった。とっても静かな裁判だった。
主任弁護士も、温厚そうな男性から「とんでもない高音ヴォイス(C)佳苗」の男性にかわったし。


昨年10月17日の初公判では、なんで一審の判決が不服だったのかを書いた控訴趣意書を弁護士が読み上げたのだが、結局、「被告を犯人とするには合理的な疑いが残る」、「十分な立証は尽くされていない」から、日本では「疑わしきは被告人の利益に」ってなりますよね? というだけのスカスカ(あくまで、私見です)なものだった。 目新しい主張はほとんどなかった。


びっくりしたのは、埼玉県内の駐車場で発見され、一連の事件発覚のきっかけとなったAさん(当時41)の体内に残されていた尿の量がもっとも大きな争点だったこと(弁護側はほかにも要求していたが、裁判所が認めなかった)。
Aさんは、佳苗と婚活サイトで知り合い、09年8月に、さいたま県内の駐車場にとめられたレンタカーの中で遺体で発見された男性だ。
初めて知ったんだけど、健康な人の尿は1分間に1㍉リットルたまるんですね。亡くなった時、Aさんの膀胱に残されていた尿は50㍉リットルだった。弁護士によれば、死亡推定時刻とか睡眠薬を飲んだ時間とかを考えると、Aさんの体内に残されていた尿の量には矛盾がある、という。だから、佳苗は犯人ではない、と。対する検察は、Aさんが亡くなる際、失禁したために、尿の量が一致しないだけで、佳苗が犯人であることに変わりはないと主張した。


Aさんが身につけていた下着やベルトなどは科学捜査研究所で鑑定されることになった。
年が明けた1月14日、第2回公判。鑑定をした埼玉県警科学捜査研究所の職員が証言台に立った。
職員は、Aさんが亡くなった時に身につけていた「ベルト」や「半袖シャツ」「男性用半袖肌着」「スラックス」「ブリーフ」を鑑定した結果、Aさんのブリーフとスラックスから、尿酸が検出されたと証言した。
デバ子は正直、「Aさん、ブリーフだったんだ・・・」、「半袖シャツの下にも半袖肌着着ちゃってたんだ・・・」という感想しかわきませんでした。


でもでも、弁護側が唯一、佳苗の無罪の材料として、立証を許されたチャンス。
「疑わしきは?」という刑事裁判の原則はもちろん大事だけど、やっぱり裁判所の心を揺さぶるのは、決定的な証拠でしょ。尿って、意外な切り口だったけど、弁護側は尿酸が検出されたことから、どう質問を展開していくんだろう。そこからいったいどんな事実があぶりだされるの?!
そうドキドキしながら待ってると、高音ヴォイスの弁護士は、尿酸の検出された意味について聞いた。
職員の説明によれば、一部のダルメシアン以外で尿中に尿酸が排出されるのは人間だけなので、尿酸の検出をもって人尿であることが証明できるらしい。


へぇ、ダルメシアンもねぇ。メモ、メモ。犬好きのデバ子が関心していると、弁護士は、検出に使用した着衣の箇所を激しく追求し出した。


「Aさんのブリーフとスラックスのどのあたりを鑑定に使用したんですかっ!!」
「ブリーフは股の部分ですか!!」
「それはブリーフの前と後ろ2カ所を切り取ったってことですか!!」


 口調は厳しいっ。でも、全然、核心に迫っていないような気がするよ? そう思った時、弁護士はひときわ高い声でたたみかけるように聞いた。


「切り取ったのは何センチ角、何カ所だったんですか!!」
「職員「2カ所、1センチ角程度です」

以上ですっ!!
ええっーー!!終わり?やっぱり、Aさんは失禁してたってことじゃん。弁護士、むしろ佳苗の足を引っ張ってるよ。
佳苗はそんなやりとりも、落ち着いた様子で見ていた。

そもそも佳苗は裁判に何の期待もしていなかったのかもと思う。
今年1月、佳苗は支援者に手紙を送り、ネットにアップしてもらうという方法で、ブログ「佳苗の拘置所日記」を始めた。
北原さん(と思われる)女性ライターを“口撃”し、フェミニズム嫌いを公言する一方で、カントリーマアムや布団を差し入れ、支援してくれる男性たちとの交流や、“小菅ヒルズ”でのセレブライフを楽しげに綴っている。

例えば、食事で出されるスープについては、


〈東拘は昼と夕食の汁物に、必ず5種類以上の具材が入っている。この汁物バリエーションの豊かさは、一般家庭の主婦の平均レベルを超えていると思う。(中略)東京は献立表がないので品名はわからない。しかし、凄いよ。和洋中、エスニック、何でもあり。同じ味付けで同じ具材の汁物が次に出るのは、忘れた頃。何を使ってどう調理したらこの深みがある味が出るのか教えてほしい、と唸ることさえあります。代官山や表参道のオシャレカフェのランチに出てきそうなスープが毎日出るんだよ、拘置所で〉(3月5日にアップされたブログより抜粋)


ブログだけ読むと、「小菅ヒルズ」いいじゃん! って思ってしまうけど、これ絶対ウソだと思う。
デバ子は前に佳苗が女性週刊誌に寄せた手紙に「パン好きの私が今までいちばん美味しいと感じたコッペパンは、東京霞が関の検察庁の昼食に出されるパン。警視庁の留置場のものとはまったく別物です」と書いているのを見て、同様のパンを食べたことがある。
フツーに不味かったですよ。褒め言葉の「粉の香りが?」というのとはまったく違う、「メリケン粉」のニオイがしましたよ。

 
ブログを読んでいると、どんどん佳苗が遠い人に思えてくる。
3月12日の裁判所には、北原さんの姿はなかった。代わりに、ブログで佳苗に絶賛されていた青木理さんがいた。そうだ、佳苗が書いた私小説のタイトルは「男性礼賛(仮)」だもんね。
フェミニズムは嫌いなんだもんね。判決後、青木さんがワイドショーの取材を受けている姿を見て、佳苗が望んだ通り、「女の事件」から「男の事件」になったんだなと思った。

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【栗林デバ子・くりばやしでばこ】

週刊誌記者。事件や裁判、犬とK-POPをこよなく愛するおひつじ座。シンガポールの動物園でハダカデバネズミを見てから、その怪しい魅力にハマっている。
ひっそり土の中から世の中にキバをむくデバ子・・・。

 

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