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地方自治体のまとはずれな「婚活」支援。香川県は婚活「おせっかい条例」を検討中。その本音は「とにかく産んでくれ!」では?

栗林デバ子2014.12.19

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香川県が県民総出で結婚のお世話をする「おせっかい条例」の施行を目指している、というニュースが出ていました。
なんでも、「結婚適例期の男女の多くが『結婚したいが出会いの場がない』という。多少なりともおせっかいをやかんといけないんじゃないか」(自民党の男性県議)という問題意識から出たアイディアだそう。来年2月の定例会で提案し、4月の施行を目指すそうです。

 これって、親戚の集まりで、若い姪や甥っ子に「○○ちゃん、いい人はいないのか?」「そろそろいい年だろう?」とか失礼極まりない質問をしたら、「出会いがないんですよぉ~。ニッコリ(めんどくせーな)」ってかわされて、「おおー。そうか、そうか。むかしは近所におせっかい焼きがいたもんだが、最近はいないもんなぁ」って浮かんだアイディアじゃないですかね?デバ子も経験があるせいか、質問するオッサンのニヤニヤ顔まで絵が浮かぶんですけど。

でも、それ本音じゃないですから。「出会いがないんですよぉ」「ご縁がなくて」って、昔から結婚についてセクハラまがいの質問を早く切り上げたい時の常套句でしょ。
 多くの社会学者が指摘しているように、日本の少子化問題の根っこって「若い男女に出会いがない」なんてことではないはずです。

 

 調べてみると、香川県は以前から婚活支援にすごい熱心なんですね。
2013年には婚活サイト「かがわ出会い応援団」になるものを開設、今年10月には、結婚しない子どもに不安を抱く親向けのシンポジウムまで開いています。
 いったいどんな支援をしているのか。
 HPを見ると、婚活大学と称する公開講座の講師陣には、コミュニケーションやファッション、マナーの専門家の名前がずらり。「婚活を成功させるための自分磨きコミュニケーションアカデミー」、「笑顔・会話講座」も開く予定のようです。
 つまり、結婚“できない”若者っていうのは、シャイでコミュニケーション力が低く、ファッションとか異性に対する気遣いがない。オシャレになって積極的に異性に話しかけられるようになれば結婚できる、という想定なんですねー。
実際の出会いの場として、森のなかで独身男女の出会いをつくる「どんぐり出会い応援団~森の中で婚活を~」や、離婚経験者限定のイベント「バチュ恋」なども開催。
 なぜ、離婚経験者だけ限定されるのか意味がわかりませんが、伝わってくるのは、「独身だろうかバツ1だろうかかまわない。とにかく子どもを産んで欲しいんだ!!という思いです。

 日本創成会議は2040年までに全国の896の自治体で20~39歳の女性の人口が5割以下に減るという調査結果を発表しています。香川県でも県内9市町が該当し、消滅可能性都市になるとされている。自治体の切実な思いはよくわかる。
 でも、出てきた打開策があまりにも浅いし、見当違いです。
 自分たちが支えてきた結婚制度や家族が抱える問題には向き合わず、「今の若者は意気地がないからなぁ。我々が結婚まで世話してあげないとならん」って、すべて「今の若者」の責任に転嫁しているところが、よくあるオヤジが考えた若者対策って感じ。
 東京都議会で塩村文夏議員に「自分が産んでから」と言ったオヤジと発想は変わらない。ちゃんと当事者である若者の話を聞いたんでしょうか。
 こんなイベントで若い男女は絶対に「香川で子どもを産もう」とは思わないと思う。
 県では今後、テニスで「0」をラブと読むことにちなみ、0のつく日を「ラブの日」、毎月1日をアルファベット「I」に見立て「愛の日」として、婚活イベントを開いていく予定らしいのですが、発想のあまりの気持ち悪さに、地元に残ろうと思った若者も都市部に出て行くと思いますよ。

 多くの専門家が指摘してますが、本当に少子化を解消するのに必要なのは、結婚支援ではないです。出生率が改善しているフランスや先進国がしているのは、結婚しなくても子どもを産めるようにしたり、家族ではなく社会全体が子どもを育てることだったり、女性の負担を減らし、子どもを持つことについて選択肢を充実させることです。
男が家事や育児を担わなかったり、妊娠したら仕事を辞めさせられたり(たっくさんありすぎるので、以下省略)日本では家族になることの女側のデメリットが多すぎる。
 本気で子どもを増やしたかったら、やるべきなのは、他の自治体より手厚いシングルマザー支援とか、妊娠しても、出産しても仕事を辞めることなく安心して子どもを育てられるようにすることでしょ。そしたら、香川に移住する人も増えるんじゃないでしょうか。

 

 香川県のような地方自治体は増えているんだろうなぁ。こういうニュースを見ると、県議とか自治体の首長に、もっともっと若い女性になってほしい、と切に思います。そしたら、こんな当事者不在の条例が通ることはなかったはず。
 I(愛)とか0(ラブ)とかふざけている場合じゃないです。もっと真剣に少子化対策してください!!

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