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私はアンティル Vol.127 イチゴ事件その53 初めての合コン

アンティル2008.12.10

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久しぶりの学校。
教室を入ると、一月ぶりの私の登場にどよめきが起こる。一番後ろの席へと続く道はちょっとした花道のようだった。ヒソヒソ ヒソヒソ大勢の視線が私を追いかける。 日射しが強く射し込む教室に影を落とすように、私は腰掛けた。
教室はキラキラとした光で溢れていた。

「私のサークルに すごいかっこいい人いるんだけど 倍率高くて狙えないの」
「この前 バイト先の友達とバーベキューやってね 盛り上がっちゃって みんなでそのまま私の家に泊まったの~」

もし自分がオトコを好きなオンナで生きていたなら、もっと楽に生きられたのだろうか。私はもう一つの人生を考えてみる。しかしその人生は私の頭には描かれなかった。

3限目の授業を終えた時、違う学部にいる友人が訪ねてきた。高校時代からの友人だ。

友「アンティル! あんたが学校に来てるって学校中の話題になってるよ。今まで何してたのよ。」
ア「別に何もしてないよ。家で寝てたよ。」
友「家に電話してもいないし。変な仕事でも始めたのかと思って心配したよ。」
ア「何、変な仕事って」
友「いや~まぁね・・・。そうそう今日Tと会うことになっててさぁ」
ア「!・・・・・」
友「サークル友達と合コンするんでTも誘ったんだ。」
ア「・・・合コン・・・」
友「昔よく行ったあの居酒屋でやるんだ。」
ア「何対何でやるの」
友「4対3なんだ。女子が一人見つからなくて」
ア「・・・・行っても・・・」
友「えっ」
ア「行ってもいいかなぁ」
友「えっ! あんたが!!・・・」

私は生まれて初めて合コンに参加することになった。
今日の服装は、ジーパンにポロシャツ。胸元のポケットの所にワニのマークが縫い付けてある白いポロシャツだ。時代は80年代。もちろん襟は立っている。女子でも男子でもありえるユニセックスな格好だ。しかし私のポロシャツには肩パットが入っている。華奢なカラダを少しでもイカツク見せるため、肩パットを2枚重ねて縫い付けた特別仕様だ。

『Tに会える!』

私は胸に巻いたコルセットをきつく閉め、夜を待っていた。

友「アンティル、何で合コンに行きたいの? っていうかその格好で行くの?」
ア「まぁね」

私と友人は待ち合わせの居酒屋に向かった。開店したばかりのお店には友人のサークル仲間だという、違う学校の女子が座っていた。

女「え?! 合コンとか行って彼氏も入ってんじゃない。」
友「コイツのこと?! 違うよ。アンティルっていうんだけど、オンナだよオンナ」
女「えっ!・・・・・・・・・・・・・・・」
ア「こんばんはアンティルです。」

謝り続ける女子の向こうで友人が苦笑いを浮かべる。3人はセットされた机を前に一列に並んで、残りの登場人物達を待っていた。

「ゆうこ!(友人の名前)久しぶり!!」

聞き馴染みのあの声が背後から飛び込んできた。Tの登場だ。私は勇気を出して後ろを振り返った。

ア「久しぶり・・・」
T「っあ・・・・・・・・・・」

波乱の合コンがスタートした。

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アンティル

アンティル(あんてぃる)

ラブローター命のFTM。
数年前「性同一性障害」のことを新聞で読み、「私って、コレかも」と思い、新聞を手に埼玉医大に行くが、「ジェンダー」も「FTM」という言葉も知らず、医者に「もっと勉強してきなさい」と追い返される。「自分のことなのに・・・どうして勉強しなくちゃいけないの?」とモヤモヤした気持ちを抱えながら、FTMのことを勉強。 二丁目は大好きだったが、「女らしくない」自分の居場所はレズビアン仲間たちの中にもないように感じていた。「性同一性障害」と自認し、子宮摘出手術&ホルモン治療を受ける。
エッセーは「これって本当にあったこと?」 とよく聞かれますが、全て・・・実話です!。2005年~ぶんか社の「本当にあった笑える話 ピンキー」で、マンガ家坂井恵理さんがマンガ化! 

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