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私はアンティル Vol.138 ホルモン投与の副作用

アンティル2009.04.09

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カラダが辛い。飲んでいても飲まなくてもわからないくらいの効き目しかない
薬でも、飲まなくなると途端にだるさがカラダを襲う。

このコラムでおねしょの話しをしてから、「本当におねしょするんですか? 嘘ですよね?」と、いろんな人に聞かれた。ちょっと笑いながら、聞きずらそうに質問するから私は「本当ですよ」と笑顔で答えるようにしている。「それじゃあオムツもですか?」そうか・・・。みんなの興味はオムツにあるようだ。

私はここ数年、のぼせと倦怠感、そして記憶障害に悩んでいる。治療の副作用に上げられる更年期障害的症状。このコラムでも以前書いたように、私はこの症状をナメていた。のぼせの何か辛いの? 倦怠感なんて気力でどうにでもなるじゃない。そんな風に考えていた。でもこんなにも辛いなんて・・・・。

私は最近、更年期障害の伝道者になっている。私と同じ世代、30代で働く女性に更年期障害の大変さと仕事への影響を伝えている。

「10年後にフルパワーで仕事ができなくなることを想定しなきゃだめ」
「将来の仕事の設計図に更年期障害を忘れちゃだめだよ」

そう言って危険性をふれまわっている。だって、辛すぎるから。治療を始める前に比べて頭の回りが半分以下になっているのだ。暗算が遅い、エレベーターを乗るときに目的の階のボタンをなかなか押せない。などなど・・・その症状は日常に影を落とす。

頻繁に訪れるのぼせは、何年経っても慣れないし、記憶障害はひどくなるばかり。こうやってキーボードを叩く速度まで遅くなっている。そこで私は主治医にどうにかしたいと訴えることにした。主治医は正直な人だ。

「私にはこの症状をどう治療していいかわからい」

主治医はそういっていつも参考書を開いている。まだ症例が少ないということと、ホルモンというものがまだまだ解明され尽くしていないため、私のような症状は従来の更年期障害の症状を目安に判断するしかない。でもどんな更年期障害の薬を調合されても大きな変化はなかった。目の前で薬図鑑を広げてどの薬がいいか考える主治医に、私はどうにか記憶障害を改善する方法がないかと薬をお願いした。

主「そうね~これなんかどう?」
ア「脳疾患の方が術後に飲む薬ですか?・・・・私が飲んで大丈夫なんですか?」
主「じゃあ、これは?」
ア「老人性の記憶障害に聞く薬ですか・・・う~ん・・・・???」

それはまるで通販カタログを見て買い物を吟味する友人達のようだ。しかし、どうだ? と言われても、判断の使用がない。脳疾患か老人性か? 私の頭に近いのはどっちなんだろう??? 結局、脳疾患を患った方が術後に飲む薬に決めた。

それはカンでしかない。しかし、この薬を飲み始めてから頻尿になってしまった。1時間に3回、4回。このままいくとトイレが生活の中心になってしまう?! そう思って私は薬を飲むのをやめた。効き目は感じられるほどなかったはずなのに、飲まなくなってから3週間、頭にずーっと霞がかかっている。『このまま進むと私はいつか計算ができなくなってしまう』記憶かトイレか?!!危機感を抱いた私は薬に頼らない方法を試すことにした。まずは胡桃訓練法だ。手の中に胡桃を入れてクルクルと指で回す。私の胡桃はそれ専用に作られた鉄製のなんちゃって胡桃だ。表面に胡桃らしく見せる模様を入っている水色の胡桃。しかしそれがなんとも貧相で、持っているだけで、気が滅入る。次に考えた方法は足裏マッサージだ。頭のツボだという親指を中心に、押して痛みが出る部分を自分の指で痛めつける。痛ければ痛いほど効くように思えて、ドライバーの先や窓枠の縁を使って力いっぱい押してみたりしていた。しかしある日、起きたら足裏に猛烈な痛みが走った。痛すぎて歩けないほどだ。そーっと足裏をのぞくとアザができていた。

5+15ができない日がもうすぐくるのではないかと私は怯えている。その時私はどうやって生活していくのだろう。そう私が相談するとパートナーは「大げさな」と言って取り合ってくれない。あ~あ、若い人は残酷だ。私はパートナーからまだ毎日、オムツしろと言われている。

そろそろ私は更年期障害の伝道者をやめようと思っている。今度は老人が背負うカラダの老化から生まれる不安の重さ、苦しさを訴え伝えてゆこうか。奪うな自尊心!!
“介護する方が大変なんだからオムツをして”
私は今日もパートナーと戦っている。

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アンティル

アンティル(あんてぃる)

ラブローター命のFTM。
数年前「性同一性障害」のことを新聞で読み、「私って、コレかも」と思い、新聞を手に埼玉医大に行くが、「ジェンダー」も「FTM」という言葉も知らず、医者に「もっと勉強してきなさい」と追い返される。「自分のことなのに・・・どうして勉強しなくちゃいけないの?」とモヤモヤした気持ちを抱えながら、FTMのことを勉強。 二丁目は大好きだったが、「女らしくない」自分の居場所はレズビアン仲間たちの中にもないように感じていた。「性同一性障害」と自認し、子宮摘出手術&ホルモン治療を受ける。
エッセーは「これって本当にあったこと?」 とよく聞かれますが、全て・・・実話です!。2005年~ぶんか社の「本当にあった笑える話 ピンキー」で、マンガ家坂井恵理さんがマンガ化! 

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