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私はアンティル Vol.134 イチゴ事件 最終回

アンティル2009.02.25

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北原さんからイチゴ事件はいつまで届くのか、というメールが届いた。なぜか少し怒っているようだ。なので、今日が苺事件の最終回です。私も終わらせねば・・・と思いつつ、ずっとイチゴ事件の中に自分がいた。終わらないあの時の気持ちがまだここにあるかのように。・・・終らねば。

TがKと付き合っていることを認めた夜、私は2人が一緒にいたところを目撃する。それまで幾度となく頭に浮かべた2人の姿。しかし実際に見てしまったことのショックは大きかった。あの頃の私がもっとも怖かったものは夜だ。Tに喜んでもらえるように考えてコーディネートした部屋は牢獄となって私を苦しめていた。独りであることを思い知らせる部屋、社会と分断されている牢獄。オンナが好きな私でいる限り、誰かを好きになることは許されないのか?! 私は存在してはいけない人間なのか? なぜ“みんな”の愛は許されて私の“愛”は悪とされるのか?! 牢獄は私が私を拷問する装置となって私を深く傷つけた。私は何のために生まれてきたの?

私は部屋にいるとき酒を飲んで夜をやり過ごし、出来る限りWの家に逃げ込むという毎日を送っていた。そしてWは日に日に私への興味を深めていった。Wもまた私との時間が必要だったのだろう。しかし今になって思う。Wはなぜ私と付き合いたかったのだろうか? 母親と同じようにオンナを好きになることでWは母を肯定したかったのだろうか。それとも知りたかったのだろうか。

Wはセックスを求めてきた。結局、私はWとセックスすることはなかったのだが、泊まる度に私はWが言うまま腕枕をしていた。付き合っているのか、友達なのかそのことをWはいつも気にしていた。Wの母親が死んでから半年後、私はWの問いに「付き合っている」と答えた。

Wはそれまで誰とも付き合ったことがなかった。Wは男女がよくすることを私に提案した。
W「ディズニーランドに行こう!」「あの夜景が綺麗なホテルに泊まってみたい」
しかしそのどれもが私の古傷を痛めた。Tと行ったディズニーランドや海沿いのホテルの思い出が浮んで胸が締め付けられる。
私「ディズニーランドは嫌い。サンリオピューロランドならいいよ。」
 「海より山が好き。」

私とWは子供の後ろでキティーを見つめ、夜景のない山奥のペンションで夜を過ごした。そして私がようやく一人でも部屋にいられるようになった頃、Tから電話がくるようになったのだ。

T「どうてるの?」「やっぱりアンティルと話しているのが一番落ち着く」
私がTのいない生活を乗り越えようとするとかかってくる電話。話すたびにスタート地点に引き戻され苦しみから抜けられなくなる。そしてあの日を境に私とTはあらたな関係が始まった。

T「今日お母さん旅行中なの。泊まりに来ない?」
再び私の恋愛地獄がスタートした瞬間だった。でも、イチゴ事件(今となっては覚えている人も少ないかもしれません)ではじまった別の地獄は、とりあえず、終わった・・・のだった。

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アンティル

アンティル(あんてぃる)

ラブローター命のFTM。
数年前「性同一性障害」のことを新聞で読み、「私って、コレかも」と思い、新聞を手に埼玉医大に行くが、「ジェンダー」も「FTM」という言葉も知らず、医者に「もっと勉強してきなさい」と追い返される。「自分のことなのに・・・どうして勉強しなくちゃいけないの?」とモヤモヤした気持ちを抱えながら、FTMのことを勉強。 二丁目は大好きだったが、「女らしくない」自分の居場所はレズビアン仲間たちの中にもないように感じていた。「性同一性障害」と自認し、子宮摘出手術&ホルモン治療を受ける。
エッセーは「これって本当にあったこと?」 とよく聞かれますが、全て・・・実話です!。2005年~ぶんか社の「本当にあった笑える話 ピンキー」で、マンガ家坂井恵理さんがマンガ化! 

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