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私はアンティル Vol.148 土蔵の中の私

アンティル2009.07.01

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入社2日目、私はできるだけ女性ものに見える服を着て会社に行った。細身のズボンにスカーフ。大学の入社式と同じ、私が私を裏切らない最大限譲歩ラインの格好だ。入社1日目の夜、私の姿を見かねて「明日は挨拶回りに行くからちゃんとした服を着てこいよ」と注意した社長に文句を言われないようにブローした髪、ウサギの小さなアップリケがついた靴下、化粧こそはしないが口紅をつけているように見える唇。私は私なりの努力をして社長の前に登場した。
余談だが、どのように口紅をつけているように見せるか記そうと思う。それは実に簡単な方法だ。線が1本できるまで両唇を口の方に押し込んでそのまま電車に乗り、歩く。という簡単な方法だ。“どんなことがあっても誰にも唇は見せない!”という気持ちを忘れないことがポイントだ。30分もすれば圧力(?)をかけられた唇は充血し真っ赤な色になる。これで出来上がりだ。ほんの15分ほどしか効果はないが、定期的に続ければ赤みを保つことができる。これならば、化粧をしないことをとがめられることはない。

「おはようございます。」

マンションの一室にある事務所に入った時、社長が大きなため息を漏らした。

「オンナじゃねぇじゃないか、その格好。」

社長がイメージしていたのは、清楚で初々しいリクルートスーツを着た女子だったのだ。

「なんのために挨拶に行くんだよ!これじゃ連れて行く意味ないだろ。」

私の努力は認められなかったのだ。
結局私は挨拶周りに連れて行ってもらえず、事務所の掃除をまかされた。
陽のあたらない2LDK。そこには社長の秘書と社長がいた。他の社員は現場に出向いていてほとんど会社にはいない。私も現場に出るものだと思っていたが、いっこうに声がかかからなかった。毎日掃除と電話番。秘書の女性は20代後半。デビュー当時の三原じゅんこのような雰囲気がある人だった。私の仕事はその人の仕事の雑用だった。1週間ほどしたある日、私は社長とこの人がつきあっていることを知った。毎日帰りは一緒。2人一緒の時はいちゃついている。2人が社長室から出てこない時間が必ずある。出てくると、ちょっとにったりして部屋から出てくる2人。入社当初の私は2人のセックスを盛り上げるためだけに存在する社員だったのだ。

その頃Tは浮かれていた。同期が20人以上いる会社に入り、サークルノリで毎晩飲み歩くという生活をしていたTは会社が楽しくてたまらないようだった。会社員になって初めての週末は新入社員歓迎バーベキューが開催された。若い男性社員の車に乗って湖に向かってゲームをして肉を食べるのだという。同じ新入社員でもあまりに違うTと私。2人の生活は正反対の色を帯びていた。

私は毎日Tを車で自宅まで送った。飲み歩くTが帰る10時頃、私はTのもとへと向かう。
「私が迎えに来ている様子を同僚に発見されればTに彼氏がいると噂が立つ。そうしたら、
Tに手を出す人はいなくなる!」
私はいつ見られててもいいよう、愛用のファンデーションをつけ色黒オトコとなり、サングラスをかけて大人のオトコのフリをして気合をいれて準備した。しかし、Tがいつも指定する場所は、同僚達と会うことがけっしてない裏通り。猫と吐いているオヤジしかいないような場所だった。

社会人生活を始めた頃の私は、土蔵に閉じ込められているような気分だった。上の方でぼんやり入る陽を眺めながら外の風景を想像する。鍵を持つ人は私を恥ずかしいと思っている
人ばかり。社会と敵対している時のほうが自由だった。私はどうやってこの社会で生きればいいのか?!土蔵の中にいた私は絶望的な真っ暗な気分だった。飛び出したても飛び出す所がない。社会というものがとてつもなく大きなものに思えた。

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アンティル

アンティル(あんてぃる)

ラブローター命のFTM。
数年前「性同一性障害」のことを新聞で読み、「私って、コレかも」と思い、新聞を手に埼玉医大に行くが、「ジェンダー」も「FTM」という言葉も知らず、医者に「もっと勉強してきなさい」と追い返される。「自分のことなのに・・・どうして勉強しなくちゃいけないの?」とモヤモヤした気持ちを抱えながら、FTMのことを勉強。 二丁目は大好きだったが、「女らしくない」自分の居場所はレズビアン仲間たちの中にもないように感じていた。「性同一性障害」と自認し、子宮摘出手術&ホルモン治療を受ける。
エッセーは「これって本当にあったこと?」 とよく聞かれますが、全て・・・実話です!。2005年~ぶんか社の「本当にあった笑える話 ピンキー」で、マンガ家坂井恵理さんがマンガ化! 

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