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「大好き」ってあなたのこと。世界をあきらめないこと。

行田トモ2021.07.01

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皆さまこんにちは。行田トモです。
あっという間に6月も終わりに近づいてしまいましたね。Pride Monthだからというだけでなく、好きな花のシーズンでもあるので、わたしは6月が大好きです。
それに気がついたのは、まだ自分が何者にでもなれると思っていた大学生の頃でした。構内にクチナシと真っ白なアジサイが咲いていました。蒸し暑くなりつつあるけれど、花々の周りだけは澄み切った空気が流れているようで、気づけば足を止めていました。
数年後、オリンピックの開催地が東京に決まった時は「イスタンブールも見たかったな」と思いつつ、期待に胸を膨らませもしました。オリンピック開催ともなれば、この国が、社会が、もっと多様になるだろうと。誰もが大好きな人と手をつないで歩ける世の中に近づくだろうと。

さて、現実はどうでしょうか。

政治家が信じられない発言をしてLGBTQ+の人々を傷つけ、フェミニストへのSNSなどでの誹謗中傷はやまず、国民の健康が犠牲になるかもしれないことを顧みず、五輪が始まろうとしています。
わたしはといえば、うつ病に20代のほとんどをささげ、セクハラに遭い、病気が悪化する過程で大切な友人、愛するパートナーとの縁が切れてしまいました。
あんまりじゃないか、と時には思います。先の見えない不安に襲われて涙が止まらない日もあります。何もかもをやめてしまいたくなることもあります。

それでも、わたしはこうして書き続けています。なぜなら、皆さまに「大好き」を諦めてほしくないからです。そして、わたし自身も「大好き」を諦めたくないからです。
引っ越しの度に本を減らすようにしていますが、絶対に手放さないと決めている絵本があります。

チャールズ・M・シュルツの『スヌーピーの大好きって手をつないで歩くこと(原題:LOVE IS WALKING HAND IN HAND,主婦の友社,2008』です。
谷川俊太郎さんのすてきな訳で、わたしたちにたくさんの「大好き=LOVE」を伝えてくれる名著です。

この本を読むと、いつも泣いてしまいます。あまりに優しい「大好き」が満ち満ちているから。
それはほんのささいなこと。「大好き」だから、大切なマンガを貸したり、一緒にお菓子を作ったり、今なにしているのかなぁと考えたり。ささいなことだけれど、特別なこと。
しかし、世界中に、そしてこの国にそんな「大好き」を伝えられない人がいるのです。偏見や、思い込みや差別によって。

皆さまに質問です。

この世界が「大好き」ですか?
わたしはうなずくことはできません。理不尽や暴力にあふれたこの世界を「大好き」だとは言えません。
ですが、「大好き」と言えるようになりたい。言えるようにしたい。この思いだけは捨てたくありません。

元パートナーと付き合い始める前、彼女と手をつないで渋谷を歩きました。あの時、世界の色が変わって見えました。キラキラと輝いたのです。

それはまさに「大好き」が生まれた瞬間でした。
あの瞬間が、ひとりでも多くの人に訪れてほしい。それは別の形でもいいのです。生涯愛せる何かに出会うこと。夢中になれるものを発見すること。揺れるカーテンに静かな幸せを感じること。

わたしは願います。そして諦めません。誰もが自分の「大好き」を他者によって奪われることなく、あざ笑われることなく、大切に抱きしめられる世界になることを。大好きな人たちが手をつないで歩ける世界になることを。
だからわたしは書き続けるのです。拙い、弱々しいメッセージだとしても、誰かに、あなたに届くように。

絵本の最後にはこう書かれています。

“Love is the whole world”

“大好きって全世界。”と。

そのページのスヌーピーの表情を、ぜひ皆さまの目で見てあげてください。きっとあなたの「大好き」がひとつ増えるはずですから。
そして忘れないでください。何があってもあなたは誰かの「大好き」であることを。

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行田トモ

行田トモ(ゆきた・とも)

エッセイスト・翻訳家
立教大学 文学部 文学科 文芸・思想専修卒
在学中に一年間ロンドンに留学。
ストックフォト会社、美術館、出版社事務を経て、現在はうつ病との共生を目指して半療養中。自身の病気と、セクハラ被害を受けたことをきっかけに、女性のwellbeingを模索中。同時にジェンダー、セクシュアリティ、クィア、フェミニズムについて考える日々。
趣味は読書、観劇、『ル・ポールのドラァグ・レース』『Queer Eye』を見ること、海外セレブウォッチ、
ハムスターの世話(でも噛まれて泣いた)
最近のブームは韓国ドラマ&文学、アルゼンチンタンゴ。
笑顔で沼に沈没中。

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