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TALK ABOUT THIS WORLD ドイツ編 3Gとか2Gとかーー錯綜するワクチン情報と社会事情

中沢あき2021.09.28

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この数週間、ドイツでは3Gとか2Gという言葉が飛び交っている。ん? 今はもう4Gで次は5Gでしょ、ネット回線は? と思わずツッコミたくなるでしょうが、違うのです。3Gは、Geimpfte(接種者)、Genesene(罹患者)、Getestete(検査済み者)の頭文字を取ったもので、要は、ワクチンを打った、またはCovid-19にかかって回復した、またはワクチン未接種だけどコロナ検査をした、といういずれかの証明で、特定の屋内施設などへの立ち入りや利用が許可される、というコロナ規制のルールである。フランスでいう衛生パスですね。そして2Gというのはそのうちの接種者と罹患者のみ、という制限を狭めたルールである。いずれの場合も、未接種者以外はコロナ検査なしでも通用する証明だ。

3Gの施行はすでに夏前から始まっていて、適用の範囲はその時の感染者数の増減で変わってくるのだが、飲食店や美容施術店やフィットネスクラブなどのスポーツ施設、そして美術館や映画館などの文化施設やディスコやクラブ、宿泊施設への立ち入りもこの証明が必要になった。この証明を見せて中に入った後も、飲食などをする以外は基本的にマスクの着用義務がある。まあそれでもロックダウンを解除して、皆が営業できるようになるのだし、コロナ検査といってもいわゆる簡単な抗原検査で、以前コラムに書いた町のあちこちにある検査所で無料で受けることができ、その結果も15分くらいでスマホに届くのでそれほど面倒なこともない。それでいいじゃないか、と思っていたのだが、そのうちに接種者のブレイクスルー感染が話題になり出して気がついた。じゃあ、接種者と罹患者も検査しなかったら意味なくない? しかしその情報はあまり報道されていないようで、しばらく前に仕事の打ち合わせで出会った人に「申し訳ないんだけどちょっと風邪気味で……でも検査して陰性だから」と言ったら「大丈夫よ、どっちみち私はもう接種済みだから!」と彼女はにっこり笑って言ってくれたが、うーむ、いいんだろうか……。

一部の懸念の声や意見はよそに、何せマスコミはなぜかワクチンについての新情報の報道を控えているようなので、そこからのみ情報を得ている人たちは自信たっぷりに言うのだ「ワクチンは打ったほうがいいよ」。ある時には夫の友人からこんな記事のリンクが送られてきた。いわく「ワクチン反対派は、ワクチンよりもずっと高価な治療薬を売りたい製薬会社の陰謀で動いているんだ」そう。ワクチン賛成派にも陰謀論があるとは知らなかった……。

しかしドイツのワクチン接種率は実は7月くらいからあまり上がっていない。リスクグループ以外の全成人に対しての接種が始まった4月半ば頃からグーンと伸びた接種率が7月の半ば頃には一回目の接種を終えた人が6割に達し、2回終わった人は45%くらいだった。そこからなかなか伸びず、9月半ばの現在は1回目接種を終えた人は66%、2回終わった人は62%である。残りの4割弱には未接種の成人の他に未成年も含まれているが、8月にはとうとう政府は接種の推奨対象年齢を12歳以上からと引き下げたので、10代の接種者もいる。というより、おそらく夏の間に増えた接種者はこの未成年の層が多いのではと思う。7月末頃にはドイツにおけるワクチンの供給は安定してきて、希望者ならすぐに打てる状況になった中で接種率が伸びないというのは、ワクチンを打たない選択をしている人がその一定の数でいる、ということを示している。

それに苛立った連邦政府や州政府がワクチン接種をもっと進めようと「圧力」をかけてきた一例が、これまで無料だった検査を秋休みの始まる10月11日以降に有料にすることと、件の2Gルールの導入である。さらには複数の州ではこれから、未接種者で感染して自宅隔離になった場合、これまで健康保険制度の中で有給として支払われていた給付を無給にするという。なんだそれ? 未接種だから感染したのは自業自得ってことなんだろうか? 感染する確率は接種者でもそれほど変わらないという報告が、ワクチン高接種率のイスラエルや英国でも上がってきている中で、その事実を検証もせずにこの措置は単なる差別では?

私の周囲は同じく未接種の人も接種済みの人も両方いるし、同世代や若い世代の接種者は「自分がコロナで重症になるとは思ってないが、夏の旅行や行動制限措置を懸念して打った」という人が多く、そして他の世代も含めて意見が共通しているのは「国やマスコミ報道の情報が錯綜しすぎて、何を信じたらいいかわからない」である。ゆえに政府のコロナ政策については不満や疑問を抱えている人も多い。

8月末、アストラゼネカのワクチン開発者であるオックスフォード大学の教授が英国国会で「ワクチンによる集団免疫獲得は不可能」と発言した。同じような発言を9月の初めにはWHO欧州事務局長のクルーゲ氏も発言している。それなのになぜドイツ政府はまだ「皆のため、社会のために接種せよ」と言うのだろうか? 時を同じくして「可能な限りの広範囲で2Gルールを適用すべき」とドイツの医師会会長も発言した。そんな中、この秋冬にやってくる混乱を見越して別のビジネス対策を考えている飲食店の経営者もいる。ロックダウンの時とは違う経済的打撃がやってくると構えているのだ。ちなみに経済といえば、ファイザーとともにこのコロナワクチンを開発したドイツのベンチャー企業バイオンテック(Biontech)の今年の売り上げは、今年のドイツ全体の物品売上の半分ほどを占めるそうだ。コロナ禍による飲食業界の惨状とは相反の様相だ。

そして現段階で英国やイスラエルから上がってきている報告が事実ならば、この3Gましてや2Gルールでは、検査義務のない接種者が気づかぬうちに感染を広げるという大きな落とし穴がある。すると「ワクチンは重症化を防ぐもの」という新たな説明が登場するのだが、それならばなぜ3回目の接種が必要になったのだろうか? 感染しても重症化せずに軽症ですむなら2回の接種だけでよかったはず。でも3回目を打たなければならないほど抗体量が下がるなら、そもそも重症化しにくいとされていた若い世代やワクチン接種を見合わせている人にも抗体検査が受けた上で必要な人のみに接種を推奨するなど、他にも対策はいろいろとあるはずである。

しかしテレビやラジオの報道で伝えられる政策や専門家の意見はワクチン一本槍で、巷では少しずつ報道も出ている治療薬の話や現行の治療方法の話はほとんど伝えられていない。なのでその通りにワクチンを信じる人には3Gも2Gも理論的な話で、2Gならマスクを外して以前のように過ごせるとまで言う人もいる。実際、友人が先日仕事をした着席のコンサートでは3Gルールがあったそうだが、集まった60人ほどの観客は誰一人としてマスクをしていなかったとか……。未接種者は事前に検査をしているはずだが、その他は検査してないよね、やばくね? と思わずツッコんでしまった。ちなみにかの有名なバイロイト音楽祭などではマスク姿の観客の様子がテレビに映し出されていたから、マスクの着用義務はどこでもあるはずなのだが。

8月の初め頃、私のよく聞くDeutschlandfunkというラジオ局で何度か、ワクチン未接種者の意見を取り上げる番組があった。一般の人が参加した討論番組から、バイエルン州副知事で未接種であることを表明した政治家のインタビューまで、そこで伝えられた意見はほぼ一様に同じであった。「陰謀論を信じている人はむしろ少なく、ほとんどの人は錯綜する情報に不安を感じて(接種)を躊躇している」「公式にも治験下であるワクチンを義務化することなどできない」「自分の体のことは自分で決める権利がある」
私は至極もっともと受け止めたが、ワクチン推進派の人からするとこれらの意見は「皆のことを考えていないエゴイスト」「反社会的」ましてや「この手の人たちには極右や差別者も多い」と発言するコメンテーターまでいたからのけぞった。物の見方が違うと、人間ってこれほどまでに意見が相反するものなのか。最近はニュースを見聞きしているのがしんどくなるほどだが、救いは身近な友人たちと、接種、未接種に関わらず、わりとオープンに話ができることである。彼らから、接種した人の体験や考え、接種しない人の考えと両方聞けるのもありがたい。

ドイツでは9月の第二週から、図書館やスポーツ施設など、各所で気軽にワクチンが接種できるようというワクチン週間が始まり、メルケル首相やシュパーン保健相が「社会のため、皆のために接種を!」と呼びかけた。そしてこの頃、上記のワクチン開発企業バイオンテックは5歳以上の接種の推奨の承認を申請すると発表した。子どもの重症化や後遺症例はごくわずかと多くの小児科医たちが見解を出している中でである。

メルケルさん、この一年以上、あなたの「お願い」を私たちは聞いてきました。あなたの言うように「お年寄りや弱者を守りましょう」という言葉を信じて、仕事を失っても、学校に行けず友達に会えない子どもたちと家にこもって耐えてきました。そして昨年冬にワクチンが緊急承認され、その守るべき人たちに分配されました。ワクチンの効果が予想より早く低下しても、その人たちには第3回目の接種分も確保されているようです。今のところ、病床も逼迫していませんし、一度上がりかけた感染者数もまた落ち着いてきているようです。さて、今、あなたの言う「皆」って誰ですか? 正確にはまだ治験下であり、製造元も政府も責任を取らないと同意書にあるワクチンを、希望しない人にも打たせようとする、ましてや重症化リスクがほぼないとされている子どもたちにも打たせようとするのはなぜなのですか? 「皆」のために、私たちは自分の体や命や子どもたちまでは差し出せません。

@Aki Nakazawa
とあるカフェの店先に置かれた3Gルールの立て看板。このルールは店内に適用されるので、オープンテラスのような戸外ではルール無しです。また2Gの導入を始めたハンブルグなどでも、実際の導入の決断は各店に任されているとのこと。2Gを適用しない場合は夜遅くまで営業できないルールになっているので、これはおそらくカフェやバー、ナイトクラブなどの場をまずは想定しているようです。もっとも「社会の分断を深めるだけ」と批判されているこのルールには飲食店経営者の中からも「コミュニケーションの場でもある飲食店を破壊する案」と反発が出ています。ちなみに「1Gをやってる店もあるらしいよ」と友人談。ワクチン接種者だけマスクを外して騒ぎたいってことなのでしょうかね。9月26日の総選挙でこの状況が変わるとは思いませんが、この秋冬はどうなることやら。穴掘って冬眠でもしようかな、なんて……。

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中沢あき

中沢あき(なかざわ・あき)

映像作家、キュレーターとして様々な映像関連の施設やイベントに携わる。2005年より在独。以降、ドイツ及び欧州の映画祭のアドバイザーやコーディネートなどを担当。また自らの作品制作や展示も行っている。その他、ドイツの日常生活や文化の紹介や執筆、翻訳なども手がけている。 

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