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第6回 高橋フミコ  抗がん剤治療中の私と化粧・アートとしての化粧

高橋フミコ2015.01.21

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 普段、ほとんど化粧しません。わたしはズボラだからです。けれども化粧について考えるのが好きです。化粧はわたしにとってアートだからです。例えば先日本屋で衝動買いしたハンス・シルベスターの写真集 NATURAL FASHON ですが、これはエチオピアの「オモの谷」の人々を紹介したものです。泥や植物の汁でペイントを施し、草、葉っぱ、果実、花、動物の角、そうかと思えばカラシニコフ銃までをファッションとして用いています。
カラフルで自由で実にユニークなんですが、ボディペインティングには1分もかからないそうです。驚きです。いったい何のために、と思わないでもありませんが、とにかく気分がアゲアゲになることは間違いないでしょう。 それから化粧でいつも思い出すのは、韓流時代劇で知った花郎(ファラン)の死化粧です。死を覚悟の戦いに挑む剣士が、目尻や唇に紅を差し白粉を施すのですが、その左右非対象の仕上がりが、不吉な感じを醸し出しています。これもまた違う意味で気分をアゲアゲにするための儀式です。ドラマで観た花郎は皆、若くて美しい男たち。で、花郎を彷彿とさせる東方神起の写真集があるのですが、これはもう垂涎ものです。おっといけない、タイトルは「化粧するわたし」でした。わたし自身を語らねば。

わたしは朝が苦手です。出掛ける前に毎日化粧をするなんて高度な生き方はとてもできません。しかし、自分の印象を良くすることにやぶさかではありません。それで今時は便利なものがありますね。すなわちアートメイク。アート眉は大変良かった。助かった。もう薄くなって消えてしまったけれど、近々やり直す予定です。というのは、半年続けた抗がん剤治療の副作用で脱毛したからです。頭髪は抜けて行く過程がおどろおどろしいので、始める前に剃ってしまいました。眉毛はできれば温存したかったのですが、気付けば随分細眉になっておりました。太眉であることは自分らしさの一つなので早く回復しなければなりません。それから睫毛ですね。今の所まだある、しばらくは大丈夫みたいです。 抗がん剤治療中は肌はくすみ、目力は衰え、頬は弛み、全身がなんとなく浮腫んだような感じですから、これは何をしても元気溌剌には見えません。しかしなるべく自己イメージをキープすることは必要と思います。見た感じ心配してたより大丈夫そうじゃん、という思いが、本物の大丈夫につながっていくという気がします。頭痛がしていても、顔色が明るいようなら、その頭痛は気のせいです。それでも職場で「最近お疲れのようですが」と言われ、「抗がん剤中なので」と答え、「わたしの母もがんで死んだのよ」の話になり、内心、だから何ですかと思いながら「ご心配ありがとうございます」などと返事するという事象が発生いたしました。ま、よくある会話ですが。

わたしのがんは宿主に似てとてもゆっくりです。乳がんステージ場Mで早11年、幸い生命の危機にはまだまだほど遠い所におります。がん患者になってから、体に対する考え方が大きく変わりました。それは、自然な状態を是とすることを辞めたということです。美容整形や性別変更手術を、親に貰った体を粗末にしてはいけないなどといい、忌み嫌う価値観がありますが、そのようなものとは決別しました。化粧とはある意味、体そのものを改造することの対極にあったりもするのですが、わたしとしては、アートメイクが化粧なら美容整形も化粧ですと思います。で、自分はどれほど化粧したのか、数年前、歯列矯正と二重瞼にプチ整形をしています。それでも、毎日のメイクアップはしない、というかできない。本当にズボラなんで。  人はなぜ化粧するのでしょう。特に女性には化粧する義務があるとでもいうのでしょうか。化粧をすることは社会に参加する意識の現れでしょうか。そうなんでしょうとも思います。でも、わたしにとって化粧はアートなので、「化粧は気分をアゲアゲにする」ただそれだけ解っていればいいような気もいたします。  

 二月より高橋フミコさんの新連載が始まります!お楽しみに。 

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高橋フミコ(たかはし・ふみこ)

60年しし座の生まれ
美大出てパフォーマンスアートなどぼちぼち
2003年乳がんに罹患
同年から約2年半ラブピースクラブWebsiteで『半社会的おっぱい』連載
2006年『ぽっかり穴の空いた胸で考えた』バジリコ(株)より出版(ラブピのコラムが本になりました)
都内で愛猫3匹と集団生活
 

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