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大統領選で考えたこと〜二重規範と闘ってやろうじゃないの〜

行田トモ2020.11.10

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みなさんこんにちは。カレンダーの残りがペラッペラになってきましたね。いかがお過ごしでしょうか。わたしはアメリカの大統領選速報を追いながら、Netflixで米選挙に関する番組を繰り返し見ています。ひとつめは以前ラブピのこちらの記事でもご紹介したテイラー・スウィフトの『ミス・アメリカーナ』。

彼女は今回の選挙で民主党のバイデン氏とハリス氏を後押しすべく、投票を呼びかけるキャンペーンに自身の曲を使用することを許可しました。これは彼女にとって初めてのことで、そのきっかけと、”Only The Young”制作の様子が『ミス・アメリカーナ』では見ることができます。このキャンペーン映像がまた泣けるんですよね……

もう一つは4人の女性政治家の戦いを追ったドキュメンタリー『レボリューション-米国議会に挑んだ女性たち-』です。このドキュメンタリー内で唯一当選し(ニューヨーク州14区で出馬)、史上最年少の女性下院議員となったアレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏は、今回の選挙でも再選を決めています(YES!)まずはこちらのドキュメンタリーからご紹介しましょう。

“Getting ready, for women, it involves so many decisions about how you’re gonna present yourself to the world.(女の身支度は決断の連続よ 今日 世界にどんな自分を見せるのか)”

“男性候補者ならーー――どんな格好をすべきかある程度の決まりがある スーツを着るか 明るめのシャツにズボンで腕まくり ほらね だいたいこの2つでしょ”

ん? 2018年は史上最多の女性、有色人種、政治未経験者が出馬し、現職議員と予備選挙を戦った選挙でしたが、いきなり見た目の話です。そうなんです。女性政治家が、公約以前に、その装いと振る舞いについていかに余計なアドバイスを受けるのか、このドキュメンタリーは捉えています。

“”感情的になるな 感情的な女性は弱く見える 強気でいけ””と言われた “”WV(ウェストバージニア)の人には あなたのために尽くす 皆さんの下僕だと言え””と言われた 犬じゃないと言った 私達は一層頑張らないと 金落ちの白人男性じゃないから” 

これはWV上院議員候補、P・J・スウェアレンジ氏のコメントです。あんまりではありませんか? しかも「強気でいけ」は実際は”bitch”という言葉が使われています。”皆さんの下僕だと言え”の部分も”You need to tell them that you’re their bitch”です。おわかりいただけるでしょうか。女性の出馬者がいかに下に見られているか。そもそも政治の場で”bitch”が飛び交うのがおかしいでしょう。彼女たちは議員と企業との癒着問題の解決や、国民皆保険などのために闘おうとしているのに。
殺人率が全米随一(当時)で、アフリカ系米国人居住区で最貧困地区の一つである、ミズーリ州セントルイス第1選挙区から出馬したコーリ・ブッシュ氏は次のように述べます。

“有色女性はイメージが命よ 話し方や服装までチェックする 自我を出すどころじゃない それに従うだけ”

看護師であり、牧師であり、母親でもある彼女は、黒人の少年マイケル・ブラウンが丸腰であるにもかかわらず警官に射殺され、暴動が起き、抗議に参加したのをきっかけに議会を目指しました。市民に国を変えられる力があると信じたからです。そんな彼女にこんなことを言わせるのは一体誰なのでしょうか。強く、自我と勇気と行動力のある女性に。まるで就職活動のようです。
面接で言われる数々の心ない言葉。
「化粧っ気がちょっとなさすぎるんじゃ……」
「君には可愛げがない」
「あなたは男嫌いの気があるね」
どれもわたしや友人が実際に言われた言葉です。
「それ、働くのに何の関係がありますか?」
言いたかったけど、言えませんでした。

わたしはメイクをするのが好きです。着飾るのも好きです。できるだけスタイルよく見せたいし(この件については近々noteに書くので読んでくださいね)、好みであればヒール靴も履きます。ただ、女性だけが理不尽にそれらを強いられる慣習に、もううんざりなのです。それだというのにルッキングや「あなたたちのための女ですよ〜」という態度を女性政治家に求めるなんて。その先はもう見えています。ピンクやセクシーな服を着れば「女を使っている」「媚びている」と言われ、マスキュリンな格好をすれば「もっと女性らしく」「女を捨てている」と言われるのでしょう。使うも捨てるも拾うもないでしょう。ただ女で、好きな服を着たいだけ。ピンクのミニスカートを履いた次の日には黒のジャケットを素肌に着たくなることもあるのです。誰かにとやかく言われることなく。それで政治を語る女性や、女性リーダーって、カッコよくないですか? 例えば、フィンランドのサンナ・マリン首相のように。

 
 
 
 
 
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そして、政治を語ると言えば、テイラーの『ミス・アメリカーナ』です。2018年、彼女はこれまでのタブーを破り、政治的立場をはっきりと表明したのです。民主党支持者だと。その理由は”我慢の限界”です。自身が性的被害にあったこと。そして、自分のような目にあっても声を上げられない人もいるということ。それを思った時に、彼女は「アメリカのいい子」という殻をやぶる決意をしたのです。“正しいことをしたい”と動き始めたのです。

アルバム”Lover”に収録されている”The Man”の歌詞は、このコラムでわたしが伝えたいことの核心を突いています。”男だったら何を着ていようと実績とは別にみなされる”と。しかし、彼女の願いは届かず、トランプ支持者のM・ブラックバーン氏がテネシー初の女性上院議員となってしまうのです。こうして彼女は”Only The Young”を作り始めるのです。

“勇気を出して権力を正しく導けばー未来は変わるはずだから”と。

その曲が使われたキャンペーン動画がこちらです。

彼女は最後に語ります。“他者を敬うためにできる限り勉強してる それから…(自分自身の)女性憎悪(ミソジニー)の洗脳を解くために 捨て去って拒絶して抵抗するの アバズレなんていない ビッチも同じよ 偉そうな女(bossy)じゃなくて上司(jusut boss)よ 多面性を受け入れなくちゃ” そして、わたしの大好きな言葉がこちら。

“グリッターをつけてこの世の二重規範と――戦いたいの ピンクの服を着て――政治の話をしてみたいわ 両方好きでもいいじゃない”

やっぱり推せる――――――――――――――――――――!!!!!!!!わたしももっともっと勉強して、真っ赤なリップとバッチリネイル、そしてお気に入りの服を着て、お洒落なカフェでフェミニズムと政治について語れるよう精進しよう! と誓いを新たにするのでした。追記:バイデン新大統領の誕生以上に注目を集めるのは、初の有色・南アジア系女性副大統領のカマラ・ハリス氏でしょう。

素晴らしいスピーチでした。特に自分は最初の女性副大統領だけれど、最後ではないと断言したこと。そして、ジェンダーにかかわらず、高い目標を掲げて歩むようアメリカの未来を担う子供たちに呼びかけけたこと。そして、民主主義は当たり前のものではないという言葉にハッとさせられた自分がいました。それは日本も同じです。日本の女性と政治の関わり方も同じです。長い闘いがあり、今があるのです。そのことを忘れてあぐらをかいていた自分に気づかされました。この国の未来のためにできることって、なんでしょう。

あまりにも大きな宿題です。しかし、人生をかける意義のある宿題だと思った1日でした。

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行田トモ(ゆきた・とも)

エッセイスト・翻訳家
立教大学 文学部 文学科 文芸・思想専修卒
在学中に一年間ロンドンに留学。
ストックフォト会社、美術館、出版社事務を経て、現在はうつ病との共生を目指して半療養中。自身の病気と、セクハラ被害を受けたことをきっかけに、女性のwellbeingを模索中。同時にジェンダー、セクシュアリティ、クィア、フェミニズムについて考える日々。
趣味は読書、観劇、『ル・ポールのドラァグ・レース』『Queer Eye』を見ること、海外セレブウォッチ、
ハムスターの世話(でも噛まれて泣いた)
最近のブームは韓国ドラマ&文学、アルゼンチンタンゴ。
笑顔で沼に沈没中。

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