映画・ドラマに映る韓国女性のリアル (27) リアルな外国人妻問題を取り上げたドラマ「プロボノ:アナタの正義救います」
2026.03.09
韓国ドラマには実際に韓国社会で今現在起こっているイシューが登場することが多いが、昨年12月から今年1月にかけて放送されたドラマ「プロボノ:アナタの正義救います」(全12話)でも、障がい者や外国人など社会的弱者を取り巻く様々な問題が取り上げられた。

韓国では常に同時に数本の司法ドラマが放送されているほど、司法ドラマが人気で、近年は法曹関係者が作品を監修するだけでなく、直接脚本を執筆する例も増えている。代表的なのは、「プロボノ」の脚本家、裁判官出身のムン・ユソクさんだ。「ハンムラビ法廷」(2018)や「悪魔判事」(2021)など裁判官としての経験を生かしたドラマで知られる。「プロボノ」も、様々な事件を表面的に描かず、その裏にある根本的な問題に目を向けさせつつ、奇想天外な手法で勝ち抜く痛快なエンタメ性も兼ね備え、最終回の視聴率が10%を記録するヒット作となった。
「プロボノ」の主人公は、裁判官出身の弁護士、カン・ダウィット(チョン・ギョンホ)。出世欲の強いエリート判事だったが、スキャンダルで一夜にしてそのキャリアを失い、再起のために大手法律事務所のプロボノチームで「公益弁護士」として働き始める。プロボノとは、ラテン語の「公共善のために」を語源とし、仕事で培った専門的なスキルや知識などを提供して社会問題の解決に貢献するボランティア活動を指す。

例えば「プロボノ」5、6話では韓国の農村へ嫁いできた外国人妻にまつわる事件が描かれた。プロボノチームに「韓国人の夫と離婚したい」と相談したのは、ミャンマー出身のカヤ。夫は他に男がいるのではと妻を疑う「疑妻症」がひどく、一緒に暮らすのは困難だという。
まず、この依頼を受けるかどうかでプロボノチームの中で議論となる。カン・ダウィットは「誰のための公益なのか。公益というのは結局韓国社会の利益ではないのか?」と主張し、依頼を断るべきだと言う。それに対し、情熱的な女性弁護士のパク・ギプム(ソ・ジュヨン)は「カヤさんは韓国人と結婚して韓国で暮らしている。カヤさんが韓国社会の構成員でないというのですか?」と問いただす。
法律事務所としても、プロボノチームは事務所のイメージアップが目的で、外国人妻の事件はイメージアップにつながらないという理由で受任を断るよう促す。
それでも受任したのは、カヤが暴力を受けていることがわかったからだ。裁判が進むと、それが夫の暴力ではなく、舅の暴力であったことがわかるが、外国人妻の立場の弱さが露わになった事件だった。
実際、韓国では国際結婚が全体の10%前後を占め、そのうち韓国人男性と外国人女性の結婚が70%を占める。外国人妻の国籍は1位ベトナム、2位中国、3位タイの順で、近年は日韓夫婦の増加も注目を集めている。
外国人妻は農村の嫁不足を補い、農作業などの労働力としてもあてにされることも多いが、文化の違いなどから適応できずに離婚を望むケースも少なくないという。
カヤの事件はさらに複雑な背景があり、母国ミャンマーで受けた性暴力まで遡る。カヤは性暴力によって14歳で子どもを出産した過去があり、韓国の夫側は出産の事実を隠した結婚そのものが無効だったと主張する。母国での性暴力はカヤが韓国へ逃げてきた理由であり、離婚しても韓国で暮らし続けたい理由だが、結婚が取消となれば、母国へ戻らざるを得ない。プロボノチームはカヤが離婚してなお韓国で暮らせるよう奔走する。

農村の嫁不足や労働力不足を補うために外国人を受け入れているのは韓国も日本も同じだが、本人たちは様々な事情を抱えて、あるいは様々な目的で韓国へ、日本へやって来る。韓国社会や日本社会のために存在しているわけではない。パク・ギプム弁護士の「カヤさんが韓国社会の構成員でないというのですか?」というしごく当たり前の問いかけが、「自分たちの生活だけで精一杯」と嘆く今の韓国や日本でどれだけ通用するのか、考えさせられた。
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